5年生 世界でいちばんやかましい音 学習指導案




単元名

物語の山場をとらえよう

教材名 「世界でいちばんやかましい音」

単元の目標

物語の構成をとらえ、山場で起きた変化について考えることができる。

評価規準

国語への関心・意欲・態度

読む能力

言語についての

知識・理解・技能

・物語を読むことに興味をもち、山場で起きた変化について考えようとしている。

・場面と場面のつながりをとらえ、物語の構成を理解し、山場で最も大きく変わったことは何かを考えながら読んでいる。

・文章の中の語句と語句との関係を理解している。




単元(題材)設定の理由

 児童の実態

 本学級の児童は、自分の考えを書くことはできても、みんなの前で発表するときには慎重になり、誰かが発表するのを待つ児童が多く、発表者に偏りがある。これでは一人一人が「自分の思いや考えを言葉で表現する」ことは難しいと考え、1日の中で1回は発表するという機会を増やして、自分の考えを進んで発表することに力を入れて取り組んできた。その結果、進んで発表しようとする気持ちや態度は育ってきたが、友達の考えに賛同はしても、友達の意見で自分の考えが変わったり深まったりしたという発言は少なく、学び合う学習には達していない。

 4年生「走れ」の学習で、場面の移り変わりに気を付けて読み、中心となる人物の気持ちが「どこで」「どのように」大きく変わったのか、また「どうして」変わったのかを考えることを学習した。しかし、それぞれの場面が、物語全体の中でどのように関連し、どのような役割を果たしているのか考えて読むには至っていない。そこで、物語の山場に着目して読むことを通して、物語全体の構成をとらえ思考しながら読みを深め、山場で起きた変化について考えたことを伝え合うことでさらに深い読みができることを目指したい。

 教材(題材)観

本教材は、展開が分かりやすく、内容もとらえやすい物語である。一読して、「山場」がどこであるのかが明確で、そこでの中心となる人物の変容をとらえることも容易であると考えた。また、「始まりの場面」と「終わりの場面」を比べることにより、その山場で起きる変化が、その後の出来事や他の人物などにも影響していることが分かるので、読み取ることが苦手な児童にも馴染みやすい教材であると考えた。

 指導観(手だて)

物語の内容にあった会話文を作る

 教科書の王子様の後の会話文を作る。会話文を作ることで、読み取った山場での王子様の気持ちの変化を、自分の言葉で表現することができると考えた。

グループでの話し合いの場の設定

 自分が考えた会話文を伝え合う場を設定する。グループとしての会話文を作成する中で、「なぜこの言葉を使いたいのか」という理由も一緒に表現できると考えた。友達がどこの文章を読んでそう思ったのかを知ることで、読みが深まり、新たな視点が得られることが期待できると考えた。

学習指導計画と評価規準

学 習 活 動

●指導・支援 ◇評価

○学習課題を確かめ、物語の大まかな内容を知る。

 

●物語には基本的な構成があることに触れ、本単元では、物語の山場を見つけ、大きく変わったものについて読み取ることを伝える。

●大まかな内容を確認し合い、初発の感想を書いて交流させる。

◇[関]物語を読み、物語の大まかな内容を捉え、感想を伝えている。

○物語の基本的な構成を理解し、それぞれの場面の役割について考える。

●どの場面が「始まりの場面」「山場に向かっていく場面」「山場」「終わりの場面」に相当するかを考えさせる。

・場面を分ける際に着目させたい点(時、場所、人物が変わったところ)

◇[読]物語を場面に分け、「山場」を意識しながら物語の構成を捉えている。

○「山場」までに起きる二つの出来事について読み取る。

●それぞれの出来事について、一人の考えが世界中に広まっていく様子をまとめ、おもしろさに気付かせる。

・王子様の考えと町の奥さんのおもいつきについて比べさせる。

◇[読]山場に向かって進んでいく部分を読み取り、物語の構成のおもしろさや表現の工夫に気付いている。

○「始まりの場面」と「山場」の王子様の様子や気持ちを確かめ、比較する。

●「始まりの場面」と「山場」の場面のそれぞれから王子様の様子が書かれている部分を読み、整理させる。

◇[読]物語の叙述をもとに、王子様の変化やその理由を読み取っている。

(本時)

○物語全体の構成をふまえ、山場で起きた大きな変化について考え伝え合う。

 

●「山場」での王子様の変容を、物語の内容に合う会話文を作る。

◇[読・書]場面と場面のつながりを捉え、場面に合った王子様の気持ちの変化に気付く。

○物語全体を通して「始まりの場面」と「終わりの場面」の町や人々の様子の変化を読み取る。

●人々、アヒル、おまわりさんの様子や立て札に書かれている言葉を比較し、言葉から感じられることを出し合い、人々の思いを想像させる。

◇[読]「始まりの場面」と「終わりの場面」を比較し、王子様以外で変化しているものを読み取っている。

○物語の最も大きく変わったこととその理由を伝え合う。

 

●世界でいちばん静かな町になったガヤガヤ町に来た観光客に「なぜ静かな町になったのか」を自分が町の人になったつもりで説明する。

◇[読]「山場」で最も大きく変わったことについて伝えている。

本時の学習 (6/8時)

本時の目標

物語全体の構成をふまえ、山場で起きた大きな変化について考え伝え合うことができる。

展開

学 習 活 動

●指導・支援 ◇評価

1 物語全体の構成を振り返る。

・とりわけやかましい王子様

・世界でいちばんやかましい音が聞きたい王子様

・静けさと落ち着きをすっかり気に入った王子様

・平和な国で暮らす王子様

 

2 本時のめあてを確認する。

王子様の気持ちの変化を会話文にしよう。

 

3 「山場」での王子様の変容から考えられる会話文を物語の内容に合わせて作る。

 

 

 

 

4 グループで話し合い、ひとつの会話文を作る。

 

 

 

 

 

 

5 話し合った会話文を発表する。

 

 

 

6 振り返りをする。

●「始まりの場面」「山場に向かう場面」「山場」「終わりの場面」の王子様の様子を確認する。

 

 

 

 

 

 

 

 

●王子様の嬉しい発見を読み取ったことから表現させるために文末も考えさせる。

●早く書き終わった児童には「考えた会話文を聞いた町の人はどんなことを思ったのか」を書くようにする。

●書き込みが進まない児童には、物語の構成や前時の読み取りを一緒に振り返る。また、書き出しのヒントカードを渡す。

●一人の会話文を選ぶのではなく、全員の会話文を参考にひとつの会話文を完成させるようにする。

●話の進行係を決めておく。

●話し合いながら作れるようにホワイトボードを使用する。

◇[読・書]場面と場面のつながりをとらえ、場面に合った王子様の気持ちの変化に気付く。

●共通点や相違点について確認する。

●自分のことだけでなく、町全体のことを考えている王子様の気持ちにも触れる。

●話の一部を作ってみてどうだったか振り返らせる。