目次
単元名
新聞の投書を読み比べよう
『わたしの意見』を書こう
単元の目標
・新聞の投書を読み比べることを通して、読み手を説得させるための工夫を読み取る。
・自分の意見を伝えるために、構成を考えて意見文を書くことができる。
評価規準
国語への関心・意欲・態度 |
書く能力 |
言語についての 知識・理解・技能 |
・新聞の投書の特徴をとらえ、進んで書き手の主張や説得の工夫を読み取ろうとしている。 ・自分の経験を明確にもって、進んで説得力のある意見文を書こうとしている。 |
・読み手に考えが伝わるように、理由を明確にして書いている。 ・書く事柄を整理し、具体例や根拠など説得力のある構成を考えている。 【B書くこと(1)イ】 |
・文や文章にはいろいろな構成があることについて理解している。 【伝統的な言語文化と国語の特質に関わる事項イ(キ)】 |
単元(題材)設定の理由
児童の実態
本学級の児童は、4月に「イースター島にはなぜ森林がないのか」で、筆者の主張を読み取ってそれに対する自分の考えをもつ学習を経験している。また、「学校の良さを宣伝しよう」では、聞き手の印象に残るように具体例を入れて、根拠や理由を話す学習をしている。このように、意見を述べた文章を利用し、文章を読んで自分の意見をもつなどの言語活動の経験はあるものの、新聞の投書を教材にして意見文の学習をすることは初めてである。
単元のはじめに、「投書」とはどのようなものか児童に聞いたところ、「記者の感想が述べられたものだと思う。」「『投』という漢字があるから、野球など球を投げるスポーツに関する記事ではないだろうか。」「文章のある広告だと思う。」という意見が多く挙げられた。教材として取り扱う「新聞」や「新聞の投書欄」への関心がある児童は少なく、実際に新聞の投書を読んだり、どのようなことが書かれているかを知っていたりする児童は、ほとんどいなかった。したがって、読み手を説得するための工夫を新聞の投書から読み取り、その工夫を活かして意見文を書くという指導が必要であると考える。
書く活動に対しては苦手意識があり、なかなかうまく自分の考えを文章に表せない児童が目立つ。また、文章を書き進めていく中で、常体と敬体が混ざってしまう児童も少なくない。構成を意識して書くことも苦手なため、投書を読み比べさせる際、書かれている事柄ごとに色分けをさせたり、まとまりごとの並び替えをさせたりする活動を取り入れながら進め、文章の構成を意識させるようにしたい。
教材(題材)観
「新聞の投書を読み比べよう」は、同じテーマに対する新聞の投書を比べて、読む活動を通して、読み手を説得するための工夫がどのようにされているかを捉えることをねらいとしている。ここで取り上げられている4つの投書は、「自分の経験を述べる」、「実際に見たり聞いたりしたことを述べる」、「資料に基づく具体的なデータを使う」、「有名人の言葉を引用する」など、理由付けの仕方や根拠の挙げ方を工夫している。投書の説明の工夫を読み取り、それらに対して自分の考えをもたせることで、意見の広がりが期待できると考える。
「『わたしの意見』を書こう」は、自分の考えや根拠を整理し、構成を考えて説得力のある意見文を書くことをねらいとしている。読む活動での事実や意見を区別しながら構成し、予想される反対意見に対する反論を述べる工夫を活用させ、読み手を意識して意見文を書かせる単元である。
この二つの「読むこと」と「書くこと」を複合させ、児童が目的をもって主体的に読み、自分の考えを書く活動を行うことができると考える。
指導観(手だて)
「書く力」を育てるための題材の設定
単元の導入では、実際に新聞を手に取り、投書欄を探し、どのようなことが書かれているのか知る活動を取り入れる。その際、同世代の人たちが書いた投書のある新聞を用意し、投書は年齢関係なく新聞に載るということに気付かせる。「意見文の書き方を学び、実際に意見文を書いて投稿しよう」と投げかけ、児童が一貫した目的意識をもって学習に臨むことができるようにする。
意見交流の場、見直しの時間の設定
意見文の題材が決定した児童は、意見文の構成メモを作成させる。意見文を書く際は、理由づけや予想される反対意見に対する反論が首尾一貫しているかどうかが重要である。そこで、完成した意見文での検討ではなく、構成メモの段階で話し合う時間を取り入れる。話し合いの中で出た意見をもとに、構成メモの見直しをさせる時間を設けることで、より説得力のある意見文を書く段階へとつなげられるようにしたい。
学習指導計画と評価規準
時 |
学 習 活 動 |
●指導・支援 ◇評価 |
1
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○新聞について興味をもち、投書の特性を知る。 ○実際に意見文を書くという学習課題をもつ。 |
●実際に新聞に掲載されている投書を紹介し、様々な投書があることに気付かせる。 ●新聞の投書欄に記載されている投書を提示することで、自分たちも実際に意見文を書いて投稿するという目標を明確にもたせる。 ◇[関]新聞について興味をもち、投書の特徴を見つけながら読もうとしている。 ◇[関]意見文に対して興味をもち、意見文を書く学習に見通しをもって取り組もうとしている。 |
2
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○教材文を読み、学習計画を立てる。
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●教材文「新聞の投書を読み比べよう」と「『わたしの意見文』を書こう」の扉の部分を読ませ、書き手の工夫を捉えて意見文を書くという単元構成についてイメージをもたせ、学習計画を立てさせる。 ●四つの投書を読んで、内容に触れる。 ◇[関]新聞の投書の特徴をとらえ、進んで書き手の主張や説得の工夫を読み取ろうとしている。 |
3 |
○投書①と②を読んで、書き手の意見や主張、その理由や根拠をとらえる。
○二つの投書の主張をまとめる。 |
●段落の構成を確認させる。色分けすることで視覚的に段落構成の特徴に気付かせる。 ・書き手の意見→緑 ・第一の理由や根拠→黄 ・第二の理由や根拠→青 ・予想される反対意見に対する反論→赤 ・書き手の意見(まとめ)→緑 ◇[読]理由づけの仕方や根拠の挙げ方に気を付けて投書を読み、書き手の主張をとらえている。 ●二つの投書の書き手の主張をまとめる。 ◇[言]文章全体の構成について理解している。 |
4 |
○投書③と④を読んで、書き手の意見や主張、その理由や根拠をとらえる。
○二つの投書の主張をまとめる。 |
●段落の構成を確認させる。色分けすることで視覚的に段落構成の特徴に気付かせる。 ・書き手の意見→緑 ・第一の理由や根拠→黄 ・第二の理由や根拠→青 ・予想される反対意見に対する反論→赤 ・書き手の意見(まとめ)→緑 ◇[読]理由づけの仕方や根拠の挙げ方に気を付けて投書を読み、書き手の主張をとらえている。 ●二つの投書の書き手の主張をまとめる。 ◇[言]文章全体の構成について理解している。 |
5 |
○教材文の四つの投書の説得の工夫をとらえる。 |
●四つの投書の段落の構成や内容について気付いたことを発表し、投書の説得の工夫に気付かせる。 ・投書①→自分の経験を述べる ・投書②→見たり聞いたりしたことを述べる ・投書③→資料に基づく具体的なデータを使う ・投書④→有名な人の言葉を引用する ◇[読]投書の内容を読み比べ、それぞれの書き手の工夫をとらえている。 |
6
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○自分が最も納得できる投書を一つ選ぶ。 ○自分が選んだ投書に関して、納得した理由を明確に書く。
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●四つの投書を音読する。 ●納得する理由を考える観点を示し、なぜ納得したのか理由をもたせる。 ◇[書]理由を明確にした文を書くため、理由を書いている。 |
7 |
○自分の経験を思い出し、書く題材と自分の意見を決める。 |
●日常生活の中で、疑問に思ったり、困ったりしたことなどを各自想起させる。 ◇[関]自分の意見を明確にもって意見文に表したいという願いをもち、それが伝わるように読み手を意識した文章を書こうとしている。 |
8 |
○教科書の文例を読み、説得力のある意見文の書き方について知る。
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●「水田さんの文章」を読んで、説得力のある文章の構成について考える。 ●「新聞の投書を読み比べよう」の学習を思い出させ、基本的な構成について確認する。 ●予想される反対意見に対する反論を取り入れる効果について考えさせる。 ◇[関]自分の意見を明確にもって意見文に表したいという願いをもち、それが伝わるように読み手を意識した文章を書こうとしている。 |
9 |
○自分の選んだ題材について意見文を書く準備をする。 |
●説得力のある意見文を書くために、取材や調査などの情報収集を行う。 ◇[関]自分の意見を明確にもって意見文に表したいという願いをもち、それが伝わるように読み手を意識した文章を書こうとしている。 |
10 |
○取材や調査をしたことについて、情報を整理しながら意見文の構成を書く。 |
●四つのまとまりごとに、自分の考えや根拠となる事実を整理し、説得力のある意見文の構成を考えさせる。 ・自分の意見 ・理由や根拠 ・予想される反対意見と、それに対する反論 ・自分の意見(まとめ) ◇[書]書く事柄を整理し、具体的な根拠など説得力のある構成を考えている。 |
11 (本時) |
○意見文の構成をグループ内で交流する。
○意見文の構成を決定させる。
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●以下の観点を与え、グループで構成を考えさせる。 ・自分の意見は分かりやすいか。 ・納得のできる理由や根拠があるか。 ・予想される反対意見に対する反論は分かりやすく書けているか。 ・意味の分からない言葉や表現はないか。 ●話し合いの意見を基に、より説得力のある意見文になるよう構成を直す。 ◇[言]文章全体の構成について理解している。 ◇[書] 書く事柄を整理し、具体的な根拠など説得力のある構成を考えている。 |
12 13 |
○意見文を書く。 |
●自分の考えた構成メモをもとに、文章全体の組み立てや表現の効果を考えながら意見文を書かせる。 ◇[書]自分の意見を明確に伝えるため、理由や根拠、予想される反対意見とそれに対する反論を、構成を基にして書いている。 |
14 |
○書いた意見文を推敲する。 |
●書いた意見文に修正すべきところがないか、見直しをさせる。他の児童とも交換させて確かめさせる。 ◇[書]自分の意見を伝えるために、構成を基にしてかいているか確かめている。 |
15 |
○グループで書き上げた意見文を読み合い、意見を伝えたり助言をしたりする。 ○単元の振り返りをする。 |
●グループで書き上げた意見文を読み合い、よさを学ばせたり、助言し合ったりさせる。 ●単元を通して学んできたことを振り返らせる。 ◇[関]自分の意見をもち、今後も読み手を意識した文章を書こうとしている。 |
本時の学習 (11/15時)
本時の目標
説得力のある意見文の構成を話し合い、構成メモを完成させることができる。
展開
学 習 活 動 |
●指導・支援 ◇評価 |
1 前時の学習を振り返り、本時のめあてを確認する。 説得力のある意見文の構成を話し合い、構成メモを完成させよう。 2 グループ内で意見を交流する。
3 説得力のある意見文になるよう構成メモを見直す。
4 振り返りを行う。
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●前時で作成した構成メモをグループ内で交流し意見をもらうことで、より説得力のある意見文の構成を考えることを伝える。 ●以下の観点を与え、グループで構成を考えさせる。 ・自分の意見は分かりやすいか。 ・納得のできる理由や根拠があるか。 ・予想される反対意見に対する反論は分かりやすく書けているか。 ・意味の分からない言葉や表現はないか。 ●意見が伝え合えるよう、似たような題材を選んだ児童3人組でグループを作り、意見を交流させるようにする。(1人4分) ●構成を検討してもらう児童は、もらった意見と意見をくれた児童の名前を付箋紙に書くよう伝える。 ◇[言]文章全体の構成について理解している。(発言、付箋紙への記述) ●話し合いの意見をもとに、より説得力のある意見文になるよう、必要であれば構成メモに書き加えたり、書き直したりさせる。 ◇[書] 書く事柄を整理し、具体的な根拠など説得力のある構成を考えている。(ワークシートへの記述) ●構成が決定した児童は、「水田さんの構成」と「水田さんの文章」を参考にしながら意見文を書かせる。(四百字詰め原稿用紙) ●次時は構成メモをもとに意見文を書く活動や推敲する活動に入ることを伝え、今回の学習で気付いたことや活かしていきたいことをワークシートに書かせる。 |