3年生 サーカスのライオン 学習指導案




単元名

感想をつたえ合おう

「サーカスのライオン」

単元の目標

中心となる人物の気持ちの変化を考えて読み、感想を伝え合うことができる。

評価規準

国語への関心・意欲・態度

書くこと

読む能力

言語についての

知識・理解・技能

・物語を読むことに興味をもち、中心となる人物の気持ちの変化を考えようとしている。

・自分の感想が伝わるように、そう思った理由を挙げて文章を書いている。

【B書くこと(1)ウ】

・それぞれの場面での人物の気持ちをとらえ、場面の移り変わりに合わせて変化する人物の気持ちを考えながら読んでいる。【C読むこと(1)ウ】

・物語を読んで感じたことや思ったことを発表し合い、一人一人の感じ方に違いがあることに気付いている。【C読むこと(1)オ】

・自分の感想を表現するときに役立つ語句を増やしている。【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項(1)イ(オ)】




単元(題材)設定の理由

 児童の実態

 本学級の児童は、本に親しみ、すすんで読書を楽しむ児童が多い。4月単元「すいせんのラッパ」では、物語に出てくるカエルの特徴や様子を豊かに読み取り、登場人物になりきって音読することができた。しかし、叙述をもとに物語の情景や人物の気持ちを読み取る力には個人差がある。読みを深める学習では、人物の様子や気持ちが分かる表現に着目して読ませたり、児童同士で感想を共有したりすることで、自分の発想を広げたり、互いの感じ方の違いに気付いたりできるようにしてきた。

 5月単元「ゆうすげ村の小さな旅館」では、場面の移り変わりを読み取り、あらすじをまとめる学習をした。さらに、単元の終末には、自分の考えを形成し、表現することをねらいとして、感想文を書く活動を取り入れた。例文を提示したことで、自分の考えを整理し、段落を意識して書くことができた児童もいたが、自分の考えを文章に表すことができなかったり、段落相互の意味が繋がらない文を書いてしまったりした児童もいた。

 教材(題材)観

 本教材は、人物の気持ちの変化が分かりやすく、嬉しさや悲しさ、友情といった様々な感情に共感して読むことができる物語である。叙述をもとに、物語の流れに沿って気持ちを読み取ったり、場面ごとの人物の気持ちを比較したりして読むことで、読む力を高めたい。

 また、第三次には、物語を読んだ感想を書く活動を取り入れている。物語の中の人物の行動や気持ちに対して、自分はどう思うかを考え、感想文を書くことで、自分の考えを形成し表現する力をつけることを目指して本単元を設定した。

 指導観(手だて)

掲示の工夫

 人物の気持ちやその変化が分かる叙述をもとに読みを深めていく。読み取ってきたことを掲示することで、学習を振り返ることができるようにした。

 文の構成に必要な接続語を一覧にして掲示する。文章全体の構成については、自分の考えを[冒頭部に位置付ける方法]、[終結部に位置付ける方法]について、並行読書の本を使用して指導・掲示し、自分の考えを明確に書くための手立てとなるようにした。

感想文の書き方の工夫

 文章の構成を考えるために、短冊を用意した。短冊には、文の「書き出し」を書いておくことで、それぞれの文の役割(累加・並列、結論とその理由や根拠、引用、共感、事例など)を捉えて書くことができるようにし、また、書き進められない児童に対する支援となるようにした。

学習指導計画と評価規準

 次

学 習 活 動

●指導・支援 ◇評価

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○学習のめあてをもち、物語を読む。

 

 

 

 

○初発の感想を交流する。

 

 

 

●サーカスの写真を提示したり、サーカスについて知っていることを話したりして、物語の情景をイメージできるようにする。

●範読し、漢字の読みを確認させる。

●グループで交流させたり、全体で発表させたりする。

◇[関]物語に興味をもち、人物の気持ちの変化を考えながら読もうとしている。(ワークシート・発言)

 

 

 

 

 

 

 

 

○場面分けをする。

 

○簡単なあらすじをまとめる。

 

 

 

 

 

●時を表す言葉を手がかりに、場面分けをするように促す。

●「○○なじんざ」という形で小見出しを付け、じんざを中心に起こった出来事を考えられるようにする。

●場面ごとに挿絵を提示し、物語の流れを確かめさせる。

◇[関]中心となる人物の気持ちの変化を考えながら読もうとしている。(ワークシート・発言)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○第1場面を読み、じんざの様子や行動から、サーカスにいるじんざの気持ちを読み取る。

○読み取ったこともとに、じんざの気持ちを想像し、交流する。

●「一日中ねむっていた」や「アフリカの夢を見た」などの文から、年とったじんざの寂しさや虚しさを捉えさせる。

◇[読]叙述をもとに、サーカスの中で過ごしてきたじんざの境遇や気持ちを想像しながら読んでいる。(ワークシート)

○第2場面を読み、じんざの様子や行動から、じんざの気持ちの変化を読み取る。

 

○読み取ったこともとに、じんざの気持ちを想像し、交流する。

 

 

●「うきうきして外へ出た」や「ぐぐっとむねのあたりがあつくなった」などの文から、サーカスに対する思いや、男の子の言葉を聞いたときの感動を読み取るようにする。

◇[読]叙述をもとに、男の子と出会ったじんざの気持ちを想像しながら読んでいる。(ワークシート)

 

○第3場面を読み、じんざの様子や行動から、じんざの気持ちの高まりを読み取る。

○読み取ったこともとに、じんざの気持ちを想像し、交流する。

●「もうねむらないでまっていた」や「目がぴかっと光った」などの文に着目させ、いきいきとしたじんざの気持ちを読み取るようにする。

◇[読]叙述をもとに、男の子との交流を通したじんざの気持ちの高まりを想像しながら読んでいる。(ワークシート)

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○第4場面を読み、じんざの様子や行動から、火事に立ち向かうじんざの気持ちを読み取る。

○読み取ったこともとに、じんざの気持ちを想像して交流する。

●「ウォーッ」というじんざの叫び声を人間の言葉に置き換えさせ、じんんざの気持ちを想像させる。

●じんざにとって、男の子はどんな存在なのかを考えることで、じんざがなぜ火事に立ち向かうことができたのかを捉えられるようにする。

◇[読]火事に立ち向かうじんざの思いを想像している。(ワークシート)

○第5場面を読み、サーカスのおしまいの日の人々の気持ちを読み取る。

 

○読み取ったこともとに、人々の気持ちを想像し、交流する。

●「おじさんはひとりで…」「お客はいっしょうけんめいに手をたたいた」などの人々の様子に着目させ、おじさんやお客の立場に立って、気持ちを想像させる。

◇[読]じんざのいないサーカスの様子やおじさんとお客の気持ちを想像しながら読んでいる。(ワークシート)

 

 

 

 

 

 

 

 

○これまでの学習を振り返り、物語について話し合う。

 

●前時までのワークシートを提示する。

●心に残った場面を選び、その理由を考え、グループで話し合う。

●次時に詳しく文章化することを伝え、本時では簡単な感想を伝え合う程度に留める。

◇[読]物語を読んで考えたことを伝え合い、一人一人の感じ方の違いがあることに気付いている。(ワークシート・発言)

 

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○「サーカスのライオン」を読んで、思ったり考えたりしたことを感想に書く。

●前時の話し合いを想起させ、3つの項目の中から書きたいことを選んで書かせる。

・いちばん強く心に残った場面

・じんざの行動について、思ったことや考えたこと

・じんざに言いたいことや伝えたいこと

●短冊に書いた文章を組み立てるようにすることで、構成に注意して書くように促す。

◇[書]じんざに伝えたいことや自分の考え、心に残った場面について、そう考えた理由を挙げて文章を書いている。(感想文)

◇[言]感想を書くときに役立つ語句を増やしている。(感想文)

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○書いた感想を読み合う。

 

●学級全体で交流し、様々な感想にふれさせ、感じ方の違いに気付くことができるようにする。

 

◇[読]物語を読んで感じたことや思ったことを伝え合い、一人一人の感じ方に違いがあることに気付いている。(行動観察、発言)

本時の学習 (10/12時)

本時の目標

じんざの行動や気持ちについて自分はどう思うか考え、感想をまとめることができる。

展開

学 習 活 動

●指導・支援 ◇評価

1 本時のめあてを知る。

「サーカスのライオン」を読んで、思ったり考えたりしたことを感そうに書こう。

2 3つの項目の中から書きたいことを選んで感想を書く。

・いちばん強く心に残った場面

・じんざの行動について、思ったことや考えたこと

・じんざに言いたいことや伝えたいこと

 

 

 

3 短冊を入れ替えたり、接続語を加えたりして、文章を構成する。

 

 

4 書いた文を読み返して、間違いや分かりにくさがないか確認し、あれば直す。

 

 

 

 

 

 

 

5 本時の振り返りを行う。

●前時の話し合いやこれまでの読み取りを想起させる。

 

●感想を表すときに使う言葉を紹介し、感想をもつときの観点として意識させる。

●書き出しが書かれた短冊を選び、段落の意味や構成を考えて書くようにする。

●書き進められない児童には、個別に声掛けをし、一緒に短冊を選んで書き出しを考えるようにする。また、必要に応じて他の児童の感想文を紹介するようにする。

 

●接続語の一覧を掲示しておく。

●自分の考えが明確になっているか、確認するように声掛けをする。

 

●見直しが終わった児童には、他の項目でも書くように声掛けをし、様々な文章に触れさせるようにする。

◇じんざに伝えたいことや自分の考え、心に残った場面について、そう考えた理由を挙げて文章を書いている。(感想文)[書]

◇感想を書くときに役立つ語句を使っている。(感想文)[言]

 

●児童の感想文を紹介する。

●次時には、短冊を組み合わせて感想文を完成させることを伝える。