6年生 海のいのち 学習指導案




単元名

感動の中心をとらえよう

教材名 「海のいのち」

単元の目標

 物語が自分に最も強く語りかけてきたことを短い言葉でまとめることができる。

評価規準

国語への関心・意欲・態度

読む能力

言語についての

知識・理解・技能

・物語が自分に最も強く語りかけてきたことをまとめ、考えを伝え合うことに意欲的に取り組もうとしている。

・物語の山場で起きる人物の心情を読み取り、物語が自分に最も強く語りかけてきたことを考えながら読んでいる。

・大事な言葉や表現の工夫などに気づき、物語が強くかたりかけてきたことを考える手がかりにしている。




単元(題材)設定の理由

 児童の実態

 本学級の児童は、学力調査において、平均を大きく下回る項目が多いことが分かった。特に「物語の内容を読み取る」項目においては平均を下回っていた。

 普段の学習の様子では、読むことに興味をもち、進んで本文にサイドラインをひくことのできる児童と、全く作業に取り掛かることのできない児童の二極化がみられる。集団解決の前にグループ協議を行わせてはいるが、できる児童の考えを取り入れるだけで、自分の考えを伝えることのできない児童が多い実態がある。

 6年生「風切るつばさ」の学習では、登場人物の心情の移り変わりに注目して、読む学習を展開したが、自分なりの解釈を書く児童が多く、本文中の叙述をもとに考えを書いたり発表できたりする児童はごく一部にとどまった。

 本単元では、一人一人の児童が本文に目を向け、意欲的に物語を読む活動に取り組めるような手立てを考えていきたい。

 教材(題材)観

 本作品は、自然を舞台に主人公太一の成長する姿が描かれている。太一の成長には、周囲の人々(父、与吉じいさ、母)や瀬の主であるクエの存在が大きく関わっている。特に山場での、父を死に追いやったクエとの対峙の場面では、太一の生き方や考え方が大きく変化する。山場の場面における太一の行動や叙述に目を向けることで、「なぜそのような行動をとったのか」「どこで気持ちが変わったのか」など疑問をもちながら主体的に物語を読むことができると考える。

 指導観(手だて)

本文にサイドラインをひきながらの一人での読み

 時を表す言葉、登場人物の気持ちを表す言葉に印をつけながら、そこから何がわかるのか、どういったことが想像できるのか自分なりの解釈を書く時間を設ける。

グループでの話し合い

  少人数でのグループで自分の解釈を伝え合う時間を設ける。伝え合う際には、なぜそのように捉えたのか、理由を本文中の叙述をもとに伝え合わせる。一人での読みが不十分な児童は、グループ内の話し合いで、友達の気付きをメモに取ったり、アドバイスをもらったりする。

叙述をもとにした、集団解決

  学級全体で、話し合う時間を設ける。友達の考えをヒントに新しい気付きが生まれるように支援する。

一人→グループ→全体の解決の流れを単元通して行う。

 読み取りを行う際に、一人、グループ、全体の流れを毎時間設定し、読み取りを深めていくこと、叙述、文章表現にこだわって読んでいくことが大切なことに気付かせる。

言語に関係した教室掲示、今までの物語の移り変わりが分かる掲示

 本単元だけでなく、今までの学習を想起できるような言語に関係した教室掲示を常時残しておく。また、本単元での場面ごとの読み取りを掲示に残していくことで主人公の心情の変化や今まで関わった登場人物たちの考えを想起しやすくする。

学習指導計画と評価規準

学 習 活 動

●指導・支援 ◇評価

○立松和平の作品「山のいのち」「川のいのち」、金子みすゞの「大漁」の読み聞かせを行い、感想を伝え合う。

○漁業について学習を想起する。

●本教材の主題でもある、「命」ついて考えられるようにする。

●教材の音読を毎日の課題とすることを伝える。

◇[関]物語や資料を読み、命について考え、感想を伝えている。

 

○全文を通読し、単元のねらいをもとに学習計画を立てる。

○初発の感想を交流する。

●本単元のねらいをもとにねらいを達成するための学習計画を立てさせる。

●書く視点を明確にした上で感想を書かせる。

◇[関]物語を読み、物語の大まかな内容を捉え、感想を伝えている。

○キーワードをもとに、文章構成を確かめる。

○登場人物の関係をもとに、山場がどの部分か捉える。

●時を表す言葉を手掛かりに「設定・展開・山場・結末」をとらえさせる。

●主人公である太一が様々な登場人物と関わる中で成長していくこと、父の敵であるクエとの対峙がクライマックスであることに気付かせる。

◇[読]太一の成長や心情の変化を手がかりに、物語の構成を捉えて山場がどの部分にあたるか読み取っている。

○「設定」の場面を読み、父の海に対する考え方、太一の海に対する考え方を読み取る。

●父の海に対する考えが分かる表現に注目させ、父の海に対する考え方に気付かせる。

●太一の父に対する、尊敬と愛情に気付かせると共に、父を「村一番の漁師」だと思っていることを抑える。

◇[読]人物と人物との関係や人物の心情が分かる表現を手がかりに、山場以前の太一の心情を読み取っている。

○「展開」の場面の前半を読み、与吉じいさの海に対する考え、太一の海に対する考え方を読み取る。

●与吉じいさの言動をもとに、海に対する考え方、「村一番の漁師」をどのように捉えているか考えさせる。

◇[読]人物と人物との関係や人物の心情が分かる表現を手がかりに、山場以前の太一の心情を読み取っている。

○「展開」の場面の後半を読み、与吉じいさの死を受け入れた太一の成長を捉える。

●母の心配を受けた上で、父が死んだ瀬にもぐっていることを確認する。

◇[読]人物と人物との関係や人物の心情が分かる表現を手がかりに、山場以前の太一の心情を読み取っている。

 

○「山場」の場面を読む。特に、クエの様子や情景描写に注目して、読み取る。

○太一の心情が分かる表現に線を引く。

●クエの様子、情景描写から、山場のシチュエーションを捉える。

●次時の読み取りの参考にするため友達の気付きもメモに残させる。

◇[読]人物の関係や表現の工夫を手がかりに心情の変化を考えながら読んでいる。

(本時)

○「山場」の場面を読む。太一の心情を表す表現をもとに心情の変化を読み取る。

●太一の心情が大きく変わったところに注目し、読み取る。

●クエを打たなかったことで、海の命に気付いた太一の成長に気付かせる。

◇[読]人物と人物との関係や人物の心情が分かる表現を手がかりに、太一の心情の変化を読み取っている。

○物語が自分に最も強く語りかけてきたことをまとめ、友達と伝え合う。

 

●自分の考えが相手に伝わるような表現を今までの学習から想起させる。

●なぜその部分を選んだのか、本文から理由を述べさせる。

◇[言] 大事な言葉や表現の工夫などに気づき、物語が強くかたりかけてきたことを考える手がかりにしている。

本時の学習 (7/12時)

本時の目標

太一の言動や様子に着目して心情の変化を読み取ることができる。(読むこと)

展開

学 習 活 動

●指導・支援 ◇評価

1 本時の課題をつかむ。(全体)

太一の気持ちが大きく変わった理由を考えよう。

 

2 前時で学習した内容を確認する。

・クエの様子。

・情景。

・太一がクエのことをどう思っているか。

 ・「村一番の漁師」とはどんな漁師か。

・太一の心情が分かる表現。

 

3 太一の気持ちがなぜ変わったのか、自分

の考えをワークシートに書く。(一人)

 

 

 

4 自分の考えをグループで交流する。

  (グループ)

5 全体で考えを交流する。(全体)

 

 

 

6 振り返り

 「海の命」とは何か、自分の言葉でまとめる。

●前時の学習をもとに、学習課題を確認する。

 

 

●前時の学習を想起し、場面を確認させる。

●クエが父の敵であること、しかし途中から「おとう」と呼んでいること「海の命」だと思えたことを確認させる。

●「クエを打たないと村一番の漁師になれない」と思っていた山場前半を確認した上で、結末の「村一番の漁師であり続けた」を読ませる。

 

●太一の心情が分かる表現をもとに自分の考えを書かせる。

●作業が進まない児童が多い場合は、前に呼び掲示資料をもとに、気持ちの変化を捉えさせる。

●作業が進まない児童には、別にワークシートを用意する。

●賛成・反対ではなく、友達の考えに気付かせる時間、全体での話し合いに活かすための時間であることを確認する。

●なぜそのように考えたか、理由を叙述をもとに説明させる。

●必要なキーワードは何かに注目させた上で話し合わせる。

◇太一の言動や様子に着目して心情の変化を読み取ることができる。

●自分の言葉でまとめる手助けとなるよう板書を工夫する。