困ったときに先生に相談できる関係や体制を築くために




相談できる関係や体制を築けないと・・・

高学年になると、先生や大人に相談しなくなり ます。そういう行為は、友達から悪く思われる(すぐに言いつけするヤツと思われるのを子ども達は嫌がります。)と思っているのです。

そして、自分たちで何とかしようと 努力するのですが、経験不足や表現力の拙さから、解決するどころか、逆にこじれてしまうことも少なくありません。そうすると次のような事が起こります。

自分たちだけで対処しようとする場合

悩み・トラブルが発生 → 解決できずにため込む → 元気がなくなる。落ちこみ悩む

→ 保護者が心配する → 悩んだあげく学校に相談 → 学校が指導・解決

→ 保護者に報告

つまり 、子どもたちも自分たちで処理しきれなくなると、結果的に保護者に相談する(または、様子がおかしいことを保護者に問い詰められて発覚する)のです。そして、保護者も悩みます。

保護者同士で解決しようとして、ときには家庭間の不和につながることもあります。散々、こじれたあとに学校に相談にくるのですが、そのときは解決にとても時間がかかる場合もあるのです。

そうならないために一番効果的・効率的な方法は、担任にすぐに子ども達が相談することなのです。その流れは下のようになります。

担任に相談する場合

悩み・トラブルが発生 → 担任に相談 → 担任が指導・解決 (保護者に報告)

トラブルを即座に担任が把握し、対処できているので、短いのがわかります。保護者への連絡はこの場合はしなくてもいいです。子ども達が「今日、事件があったけど、すぐに先生が解決してくれた」と言うのはいいでしょうし、すぐに解決したら、子ども達はたいしたことないと思っているので、親に話さえしないかもしれません。

最近は、イジメが大きな問題になっています。そのため自分はイジメは絶対に起こさない、 許さないというスタンスを貫いています。

必要なことは、早期発見です。

そのためには担任に何でも言える、相談できるという体制や雰囲気を作ることが大切です。

どんな小さな ことやどんなつまらないことにもすべて耳を傾け、真剣に公平に対応し、常に適切な解決ができるように なると子ども達は担任を信じて、多くの情報を伝えてくれます。指導は煩雑になりますし、中には、『そんなことまで!?』と思われるようなことまで相談に来る児童もいます。多くの時間が割かれることになるでしょう。

しかし、大切な事がわからない裸の王様でいて、気がついたときには学級がボロボロになっているよりは、ずっといいことでしょう。

それどころか、子どもたちが先生を信頼して何でも話してくれる素晴らしいクラスになるでしょう。どんな些細な事もおろそかにしない、子ども達のよきアドバイザーになるべきです。一時期忙しいときがあっても、そのよき関係は必ずあなたを助けてくれるはずです。




指導の注意点

言ってはいけない言葉を2つ挙げます。気をつけてください。これをよく指導で使う教師のクラスは、きっとイジメが深刻な問題になることでしょう。

「自分たちで解決しなさい。 」

解決できないから相談しているのです。かえってこじれて、大変なことになってしまいます。こじれた事例をたくさん見てきました。

「今忙しいから、あとで。」

どんな思いで相談に来たか想像できれば、こんな言葉言えません。忙しいのも分かりますが、きちんと腰を挙げて真摯に対応してあげましょう。先生に対する厚い信頼というかけがえのないつながりを得ることができます。

特に、「自分たちで解決しなさい」「自分たちで考えなさい」は、子ども達の自立、主体性を伸ばすから、素晴らしいアド バイスだと思っている教師も多いようですが、違うと思います。このアドバイスを有効にするためには、条件が一つ必要になるのです。

例えば、「サッカーの練習方法を教えてください」と初心者の子ども達が訊きにきたら、あな たは「自分で考えなさい」と言いますか?きっとそんなことは言わないだろうし、それを素晴らしいアドバイスだとも思わないでしょう。

もし、「自分で考えなさい」というアドバイスをしてもいい場合があるとしたら、教えを請いに来た人が、プレイヤーとしての技量も高く、たくさんの練習方法を知っていて、数多くの試合経験を積んでいる場合でしょう 。

「上手くなる練習方法を教えてほしいのですか?まず、自分で考えてご覧なさい。もう、君は自分で考え出すことができるだけの知識や経験をもっています。自信をもってください。」

「どうやったらうまくなるか考えてご覧。君ならわかると思うよ。わかったら教えてください。そしたら、先生もアドバイスするよ。」

そうなのです。

「自分で解決しなさい」をアドバイスにしてもよい条件とは、たくさんの方法や事例を、子ども達が知っていることなのです。つまり、これまでに教師が細かく丁寧に、いろんな解決方法を教え提示してきた場合なのです。

その大前提に気づかず、自主性を伸ばせるに違いないという思い込みで、解決法がわからず困っていた子ども達を、「自分たちで考えなさい」と突き放してしまい、その結果、修復不能にこじれてしまい、大問題になったという事例は数多くあります。

高学年といえども、人間関係の築き方やよいコミュニケーションのとり方は、ほとんどの子がまだまだ初心者です。初心者は、経験者から多くのことを教えてもらって、初めて技量を高めることができます。

小学校で教師にたくさん相談して、いろいろな解決方法を学んだ子供達が、中学や高校で、悩みながらも自分たちで考えて答えを出すことができるようになるのです。くれぐれも、順番を間違えないようにしてください。

まずは、丁寧にいろいろな事例に対応し、解決するための基本的な方法を教えること、そして、よりよきお手本を示すことなのです。