読書の面白さを味わせる




読書の大切さ

中学校に行って伸びる子は、次の3つのことができる子です。

①あいさつが元気にできる子

②読書をたくさんする子

③お手伝いをする子

読書は、子ども達を伸ばすのに非常に有効な方法です。私の小学校では朝会のある日以外は、原則、毎朝行っていました。しかし、効果的に行われているか疑問です。その理由は以下の通りです。

①8:25に開始なのに、その時点で本を選んでいる

②途中で、とっかえひっかえ本を替えている。

③漫画や図鑑、ハウツー本をよんでいる。

中には話をしていたり、絵を描いていたり、ボーッとランドセルを片づけたりしていう子もいます。

①は、心構えの問題です。大好きな体育や中休みでは、素晴らしいほどの準備や片付けをして積極的に活動できるのに、読書ではそれができないというのは、やろうという意思が弱いからです。

②これも意欲の欠如からくることです。長編を読むのは嫌だから、簡単に適当に読めるよう に、字の大きい本や簡単な本を選ぶと、5分程度ですぐに終わつてしまい、別な本を探すことになるのです。

③読めば何でもいいというわけではありません。 教師が朝読書本来の目的や目指すべきねらいをきちんと把握しているのなら、朝読書時に漫画や図鑑などは読ませないはずなのです。小説を読む子と漫画しか読まない子が1年後にどれくらいの差がつくか、想像できる事でしょう。

ちなみに、私のクラスでは漫画を置くこともあります。時期、内容、発達段階、学習効果等を考えて積極的に置きます。でも朝読書には読ませません。また、読書の習慣や楽しさがかなり 浸透してから置きます。そうしないと、漫画しか読まない子になってしまうからです。

友達や弱者に対する態度や命の大切さを考えさ せるために 5月中旬に「光とともに」、6月下旬「ブラックジャック」を置きます。クラスの様子がとても落ち着いてきて、仲もよくなり、お互いに助け合えるクラスになる10月ごろになると、どちらの本も引き上げます。

子ども達には、「読みたいから置いたままにして。」と反対されますが、「もう君達には必要ないでしょ。」と説得します。このあとは、学力を上げることができる漫画を置きます。

私は自分が読書好きなので、読書指導には力を入れています。①~③などは絶対に許しません。朝読書の15分間は、必ず物語・小説を読むように指導しています。

最初は、私の目をごまかして(この時間帯は、職員朝会の時間です。)①~③のようなことをしている子も いますが、丁寧に指導をしていると 、1学期中にそういうことはほとんどなくなります。読書の楽しさに目覚めて、進んで本を読もうとします。初めは、読書なんて嫌だと言っていた子どもたちも、学校生活の多くの場面で、自然に読書をするようになります。




読書の習慣が身についてくと・・・

以下のような行動をするようになります。

・ 雨の日に外で遊べないとき、静かに読書をしています。

・作業が早く終って時間が余ると、静かに読書をします。

・私が教室に戻るのが遅れても、立って騒いでいる子はいません。

・給食の準備時間、多くの子が静かに読書をしています。

・下校時、先生、本を貸してくださいと言ってきます。

・友達同士で、面白い本の情報交換をし、クラスの中で読書の流行を作ることもあります。

読書の効用をどのように考えているでしょうか。ただ、読解力が伸びるだけではありません。態度面の変化や改善にも大きな影響を与えるのです。

前述したように読書が習慣になると、クラスは落ち着きます。読書をしている、していないにかかわらず、常時、落ち着いた雰囲気になります。語いも増え、知識が豊富になるだけでなく、作文などの表現力や会話の内容も豊かになります。集中力が増し、長時間、座って授業を受けるのも平気になつてきます。

また、想像力を大きく伸ばすことができます。想像力は、予想を立てたり、自分の考えをもったり、相手の気持ちを読みとったりするのには欠かせない、重要な力です。

学力を伸ばすためにも、人間関係を築いていくためにも読書をすることで効果が期待できます。

一方、漫画には、印象的な絵や構図、セリフを脳裏に焼き付ける力があります。知識や難しい理論を覚えさせるのには、非常に効果があります。短時間で概要を理解させるにも適しています。私のクラスには朝日新聞出版「週刊マンガ日本史」や「週刊マンガ世界の偉人」 などもおいてあります。

特徴的な出来事や人生を短くまとめたものになっていて、大人からすると物足り ない内容になっています。しかし、今の子供達は「エジソン」ですら、何をした人か、どんなエピソードがあるか知らない子がほとんどです。いきなり、その子達に伝記を読みなさいでは、敷居が高すぎます。

しかし、「週刊マンガ世界の偉人」は、子ども達大好きでよく読んでいます。これを入り口にして、私が言わなくても図書室で伝記の本を借りて読むようになる子も増えています。

小説はいいが、漫画はだめではなく、目的に応じて使い分けをしていくといいでしよう。

私は、学級経営を充実させるために、学習以外の、様々な活動を子ども達にさせています(皆 さんも同様でしょう )。 最近は読書が学力の向上という点では一番効果的と考え、特に積極的に取り入れています。

読書が一番いいということではなく、運動でも音楽でも同様な事はできます。要は、その先生の熱意と工夫で、子ども達を容易に変えることができることを教師自身が信じることが大切なのです。