保護者参観授業(学校公開中の授業)の作り方

まず、わたくし自身教師なので私が授業を見る観点から考えたいと思います。




教師としての授業の見方

私は教師であるので保護者の視点だけでは参観できません。無意識に教師の目線になってしまいます。

そのときに、考えているのは、 自分が普段していることをしているかどうかです。

物事を評価するときは、やはり自分自身の行動原理や考え方が評価の基準となるからです。

もし、私がしていないことを(またはできないことを)していたら、「がんばっている」「すごい!」「工夫している」と素直に感嘆します。

是非、自分にしかできないことや、自分だからできることをやってみてください。

逆に必要ないと思えることをしていたら、どうしてだろう?… と首をひねりますが。

教室掲示の顔写真

例えば、クラスに子ども達の写真をはることです。最近はクラスに子ども達の写真を貼ることが流行っているようですが、 あの意図はなんだろうと思います。 校長室に全クラスの児童が写真が貼ってあるのは、校長がたくさんの子どもの顔を覚えるためと、 何か対応すべきことがあったときにすぐに顔を確認できるようにするためという理由からです。

では、毎日クラスにいて顔と名前は一致しているのに写真を貼るのはなぜだろうと考えます。

外部向けなら、非常に効果的な、そしてありがたい掲示ですが、クラスの子ども向けにはなぜ行うのだろうかと思います。

なぜこんなことに文句をつけるかというと、きちんと狙いや目的をもって活動・行動をする習慣をつけてほしいからです。(良い指導・授業はねらいや目的が明確なのです。)

現在、クラスに写真を貼っているあなたは、きちんとその意図や教育的な意義や効果を説明で きますか?それがきちんとできるのなら、どんなことを言われようと堂々と胸を張っていいと思います。

話を戻しましょう 。私が特に若手の先生の授業で見ていることは、簡単にまとめると、子供の態度と土 生の技量です。もう 少し具体的に説明しましょう 。

授業を見るポイント

①児童の態度・姿勢・座り方・言葉遣い

②児童が積極的に授業に取り組んでいるか。

(挙手や発言の多さ、日の輝き、つぶやき、からだの前のめり度→おもしろいと子供たちは自然に前に乗り出します。教師の指導する姿を見なくても、教室の外(廊下)から座っている子供の姿を見るだけで、 授業の善し悪しは判断できます。)

③教師の視野の広さ(全員に気を気張っているか。誰かだけを注視していないか)

④発問の内容、言葉の適切さ、語りかけの工夫

⑤教材の使い方、教材の解釈の仕方、教材の提示のタイミング

私は、自分が授業をするときにいつもこれだけは気をつけています。

だから他の人の授業を見るときも、これらができているか自然と確認してしまいます。私だって、いつもできているわけではありません。でもよい授業者であろうと常にこれらは頭の隅おいて授業をしています。

これらができていなくても、何ら恥じることはありません。大切なのは、できる・できないではなく 、やろうとしているか、努力しているかなのです。




授業参観の保護者の視点

保護者の視点で見ると、もっとも保護者が気にしているのは、

①「児童の態度・姿勢・座り方・言葉遣い」です。

あとは、“友達との関係、クラスの仲の良さ”です。

授業の善し悪しはあまりふれません。

残念ながら、いい授業をあまり見たことがないからです。

ただし、授業中、子ども達の様子が騒がしかったり、集中していなかったりすることには非常に敏感です。よい授業とはどんなものかを研究していないのに、子ども達の様子を見て、間接的にいい授業と悪い授業の違いがわかってしまうのです。

授業参観や学校公開のときには、子ども達の様子を見ていい授業と分かるような授業ではなく、是非、保護者の皆さんが子供の様子などそっちのけにして、 夢中になる授業をしてあげてください。

終わったときに、もう一度小学校で勉強したかったと思わせるような授業の在り方を目指してください。

そういうクラスなら、安心して子供を学校に預けてもいいと思ってくれることでしょう。

4月またそれ以降の授業参観

私は1学期の授業参観では、担任の力量を見せる授業を行います。

そのために、保護者が身を乗り出して、学ぶ楽しさを再認識する授業内容を考え、 保護者の皆さんに目いっぱい楽しんでもらおうという意図で授業を計画します。

まずは、大人を魅了する授業をするわけです。そうやって、保護者の厚い信頼を得ようと考えています。

期間の長い学校公開では、 特別なことはいっさいしません。全くいつもの授業と同じことをしています。

保護者が見ている、見ていないは関係ありません。

日頃の授業から、いつ保護者の方たちが来校してきても、または校長・副校長が授業見学に来ても、他の先生方が見せてくださいとやってきても、 『おもしろい』と言ってもらえるような授業を心がけるようにしています。(ただ、学校公開中は、お説教は減らすようにはしています…。)

3学期の授業参観は、子ども達の1年間の成長が見て取れるような授業を企画します。

私はあまり前面に出ないで、子ども達の活動・発表が主になるような内容です。

1年間、きちんと授業を受け、生活態度がよくなると、こんなにも力が伸びるのだということを保護者の皆さんに見てもらう 授業です。

授業参観や学校公開の内容も時期によって、 狙いや目的が違ってくると考えましょう。保護者が見に来ているから、子ども全員に発表させようという安易な考えで計画するのだけはやめましょう。

考えに考えて、結果的にそれになるのはいいのですが、最初から“発表”というのは、無難な授業をおこなっていることになります。

授業力は伸びません。人が見ている時こそ、新しい試みにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。