「友だち」と「仲間」の違い




友達と仲間の違い

友達と仲間の違いをあなたには説明ができますか。

友達には、”好き”という感情が入ってきます。なぜ“好き”かというと、自分に近い、自分に同じ、共感できるところをもっているからなのです。

友達には仲の良さや気の合うことが必要ですが、仲間には仲の良さは必要ありません。

しかし、よき仲間であろうと努力すると、必ず仲が良くなります。そして、大きな力を発揮するようになります。ここで間違えないでほしいのは、よい仲間にするための条件は“好き”にさせることではないということです。




仲間の強さ

かつて自身が所属していたサッカーチームを例に挙げましょう。初めは、単にスポーツをする集団だったのに、いつしか強いつながりが育ってきました。個性的で考え方は多種多様で、いつバラバラになってしまってもおかしくない集まりだったのに、最終的には互いに認め合う間柄となりました。友だちというより、仲間といったほうがしっくりくるでしょう。

しかし、その異なる考えや能力、特徴をもった集団が結束を高めた結果、ものすごい力を発揮し、信じられないような結果を残すことができるのです。

「 個性的で考え方は多種多様で、いつバラバラになってしまってもおかしくない」集団とは、あなたの担任している学級もそうではありませんか。もし、今うまくいっていないとしても、学級を束ねるあなたが、クラスの子ども達の、仲間としての意識を高めさせていけば、学級はまとまるのです。

よき仲間を作るための条件

では、よき仲間を作るための条件を考えてみましょう。仲間に必要なのは、共通点の多さではありません。次の3つです。

○同じ目標を追求しようとする意志

○相手を尊重する態度

○すごした時間の長さ

簡単に言うと「目標」「尊重」「時間」です。

違う人間が二人いれば、そこには必ず意見の相違があります。その違いを認められるかどうかが仲間になれるかどうかのカギになります。自分との違いを認めること、それが「相手を尊重する」ということになるのです。

全く違う人々が、互いを尊重するには、その違いを乗り越えるだけの「目標」が欠かせません。特に、考え方に接点がない人や折り合うことが出来そうもない人を理解し、一緒に協力してやっていくためには、共通の「目標」は必要となります。

その場合、「目標」は困難だけど、魅力的で楽しく、必ず達成したいと思えるものなら、さらによいでしょう。

しかし、この二つを達成するためにはある程度の「時間」が必要になります。結果をすぐに求めようとすると、「目標」は達成できても、そのためだけの関係に終わってしまいます。それでも、互いのことを知り、理解できるきっかけにはなりますが、やはり、相手を「尊重」し、よい関係を作るにはある程度の時間が必要です。

自身のサッカーチームが強くなったのも、その3つを満たして、仲間としてのつながりを強くしたからなのです。

チームは毎週、1回練習をしています。上手くなるための練習ではありますが、よい関係を作るための毎週の練習でもあります。たまにしか会わないとよい関係はなかなかできないのです。

核となる何人かがよい関係になると、 雰囲気がとてもよくなり、新しく練習に参加する人も、緊張せずに楽しくできるようになります。

そうすると、「また来よう」「他の人も誘おう」と輪が広がっていくのです。その輪の広さがつながりの強さになるのです。

学級経営においての指導

学級経営では、その輪の広がりは、容易にできると思いませんか。毎日、顔を会わせています。互いの違いを超えるだけの目標は、学校やクラスにはたくさんあります。時間だってたっぷりあります。あとは、担任が工夫や気配りをして、互いの関係をよい方向に向かわせてあげるだけなのです。

高学年の学級経営においては、『みんなで仲良く遊びましょう』という指導はあまりよいものではありません。

もちろん、それが自然に違和感なくできればそれに越したことはありませんが、高学年では、子ども達の自我は日覚め始めています。自己と他者との違いを認識し、他者との拒絶が以前より強くなって いるときに、「みんな仲良く遊びましょう」は理性の半分では必要なこととして理解はできるものの、残りの半分の理性では、「どうして無理して合わせなくてはいけないの?」「どうして気の合わない人と遊ばなくてはいいけないの」と感じてしまうのです。

低学年ではうまくいった指導法が、発達段階を考慮しないと逆に反発されてしまうことになってしまうのです。

高学年では、“よき仲間であれ”を指導する方が、子ども達はより深く納得し、行動に移そうとします。

できなくて叱責されても、“仲間”になれなかった事を子ども達はきちんと反省します。

児童への指導例

「無理して仲良くする必要はないんだ。でもね、そういう人たちと一緒にグループを組んで、活動をしたり、作業をしたりすることはこれからもたくさんある。というより、そちらの方が圧倒的に多い。そういうときに、あいつとは気が合わないから、いい活動ができませんでしたとか、良い成果が出せませんでしたとか、失敗しましたとか、事故が起こりましたとか言っても周りはだれも納得してくれないよ。大切なのは、どんなメンバーがいようと、共通の日標に向かって、最大の成果を出せるようにすることでしょ?」

「ワンピースで、サンジとゾロって仲がよくないよね。でも、共通の敵や日標に向かうときは、それぞれの主義主張は封印して、全力で協力して取り組み、ルフィを助けるでしょ。互いの力を認め、尊重しているのです。それが仲間というものなのです。君達はよき仲間になれますか?」

「初めから仲が良い友達がいると思う?必ずきっかけや、その後の努力が必要なのです。よく考えてごらん。今、仲の良い友達だって、最初はただ単に、たまたま同じ班になったから話をして仲良くなったとか、授業でたまたま学習グループが一緒になって調べ学習をしたとか、委員会やクラブがたまたま一緒で話す機会が増えたとかじゃないかい?今、君があまりよく思っていない子だって、ただ、一緒に何かをするきっかけがなかっただけなのかもしれないよ。」

クラスの中には、そりの合わない子がいて当たり前です。大切なのは、どんな子も互いに仲間として認め、尊重し、共に共通の目標に向かって取り組むことができる姿勢をつけさせることなのです。