小学校教師としての心構え ~若手教員のために~

教師の仕事は大変です。

仕事の多さ、授業力向上のための努力だけでなく、それらをうまくこなしていても、少しの気の緩みや、見落とし、不用意な言葉かけなどで、子どもや保護者との関係が壊れたり 、クラスがうまくいかなくなったりすることもあります。

それは、若手・ベテランに関係なく起こります。

そういうことを避けるために最大の効果的な方法は、子どもたちと良い関係を築くことです。

若手の先生なら、遊ぶのが一番簡単で効果的でしょう 。ただ、その一番簡単な方法をやっていない若手の先生の何と多いことでしょう か。若いからこそできる方法なのに、もったいないことです。




「ねらい」を常に考える

大切なことは物事の本筋や特性を自分なりに規定する目をもつことです。

簡単に言うと、その“意味”、“本質”に迫る力です。

もっと端的に言うと“ねらい”を常に考えなさいということです。

例えば「音楽の授業とはどうあるべきものだろう」と考えたとき、一つの結論を得たからこそ、私はなるべく短時間でも音楽の授業を見るようにしているのです。

中には、 「専科はプロなんだから、全て専科に任せればいい」という考えもあるでしょう。

でも私はそう思いませんでした。

だから、私は音楽と少しでも関わろうと考え行動しているのです。自分なりに物事の本質に迫るということは、行動を変えることになるのです。

「なぜそれをするのだろう」、「それはどういう意味をもつのだろう」と考える習慣をつけると、「どうして○○を学習するのだろう」「この写真はどうしてここで使われているのだろう」「この言葉をどうして、ここで使っているのだろう」と当たり前に考えるようになります。

それに対して自分なりの答えを見つけ出すことが授業力や児童理解の向上につながっていくのだと思っています。

教材研究について、意図や本質にせまることを大切にしてください。教材を深く読み解く力を是非つけてください。もちろん、一朝一夕ではできません。毎日の努力の賜物なのです。




日々の指導の大切さを理解する

子ども達を伸ばすには、よりよい生活習慣を身に付けさせることが一番効果があるということです。

勉強や運動できるようにさせたいなら、「あいさつ」や「返事」をしたり、掃除をまじめにやったり、時間を守ったり、ということを指導することが大切です。

毎日の積み重ね・努力が大きな成果や成長につながるということを理解してください。

いつもは、あまり指導しないのに、大きな行事の前だけ指導するとか、事件が起こった時だけ注意するとかでは、その指導は一過性のものとなり、子ども達の心や体に定着していきません。

毎日の指導を丁寧に行うことが、大きな行事などのときに指導の負担を減らすことになりますし、イジメなどの事件の予防につながるのです。

話術を磨く

教師の仕事は、言葉が非常に重要です。

語感を磨いてください。いい言語センスをもってください

語感を磨くと、自分の話術が向上するのはもちろんですが、子ども達の発言から、色々な情報を引き出すことができます。よい聞き手にもなれるのです。

話術が優れている人は、話の聴き方が非常にうまい人です。よく話を聞いていて、いいタイミングでポンと核心を突くようなことが言えるのです。

逆に、自分の考えだけをまくしたてる人は、いくら立板に水を流すようなしゃべりができても、話術が優れているとは言えません。

子ども達に対しては、話上手であると同時に、聞き上手にもなってください。聞き上手になるということは、相手のことをきちんと認めることができるということです。

つまり、カウンセリング能力に長けている人になります。

話を聞くときの表情やしぐさ、あいづちの打ち方なども意識してみてください。

趣味の時間をたくさんもつこと

ここに多くのことを書きましたが、それらを一度に全部できるようになることなどできません。こんなこと自分にはできないと思われる方もいるかもしれません。私もこれらのことがすぐに、一度にできるようになったわけではありません。

少しずつ、ゆっくりと、多くの経験を経て、身につけていつたのです。駆け足で進まないようにしてください。自分のペースで、自分のやり方で、自分にしかなれない教師を目指してください。

わたしにも、こうなりたいと思う先生はいました。

しかし、現在は、目指していた教師とは違うタイプになっています。なりたいと思つていた先生とは少ししか重りません。

当たり前です。

私には、私にしかない特徴がありますし、それを最大限使って、授業や学級経営をしているからです。

サッカーが好きなことも、読書をすることも、甘いものに目がないことも、ゲームや漫画が好きな事も、全部が自分であり、それなくして現在の自分という存在は形成されてこなかったでしょう。

サッカーなどの運動をしていないと優秀かどうかは別として、違うタイプの教師になっていたことでしょう。

また、ゲームや漫画を入り口として得た知識も非常に多いですし、子どもたちとの共感度を高めるためにも非常の大きな役割を果たしています。

趣味として、仕事を忘れる時間をもつことことができるということでも大切な時間になっています。

多くの本を読む

例えば私のやりかた「逆転の発想」は私が本格ミステリ ーが好きなことにも大きな関係があると気がつきました。

驚きを与え、伏線をはり、最後にストンと落とすのは、ミステリー好きだからこその考え方でもあると言えるのです。自分の思った通りに伏線を回収できると、よいミステリーを読んだときの読後感に近いものを感じたりもします。

情報量の多い、知的活動である読書全般からは計り知れないくらいの影響を受けています。読書をする習慣がなければ、どんな教師になっていただろうとゾッとします。

教育書しか読まない(すなわち必要な情報しか取り入れない)教師が魅力がなく、力もないという事例はたくさん見てきました。

早く帰ることの大切さ

学校に残らないことも、教師としての力をあげるための必然だったと私は思っています。

サッカーをすることも、書店でずっと本を物色することも、学校に残っていてはできないことだからです。

また、学校を早く出るためには、学校での仕事をきちんとこなさなくてはなりません。頭を使い、工夫して、学級事務や学校の仕事、授業の準備をしました。

もし私の仕事の仕方が速いとか、工夫をしているとか思われているのなら、それは短時間で集中して仕事をする習慣がついているからです。

残念ながら、遅くまで残って仕事をしている人はこの力を伸ばすのは難しいでしょう。

サッカーの練習時間が4、5時間あったら、あなたはずっと全力を出し続けることができますか?人には集中を持続できる適正な時間があるのです。

長時間、学校に残って仕事をしている人は、自然に力の抜き方、またはだらだらと仕事をする力がついているのです。(食べながら、おしゃべりしながら、ときどきボーっとしながら仕事をしている人多くありませんか?それも必要なことだと言われたら何も言えませんけど…。)

ここまで長く述べてきて、何を伝えたいかお分かりになったでしょうか。

よい教師になりたいなら、仕事以外の充実が大切ですということです。

同じことを子ども達に伝えています。

「必要なことしかしないのでは、学力は伸びません。大人からすると、くだらないことや無駄と思われることをたくさん経験してください。その経験があなたの核となり、魅力となり、力となるときが必ず来ます。」

まとめ

教師になったら、仕事しかしない、または他のことをする時間がもてないと言っている方は多いです。

でも、考えてください。

教師としての長い経験を抜きにして、私と、仕事しかできないあなたとでは、いったいどちらの方が教師として豊かなのでしょうか。私でなくてもいいです。スポーツで活躍している教師(スポーツ以外の趣味ももちろん構いません)と、仕事しかしないあなたとではどちらの方がよい教師になると思いますか ?

例えば、勤務時間終了後、すぐに学校を出る教師を、遅くまで学校に残って仕事をしているあなたは、軽く見ていませんか?

または自分の方が偉いと思っていませんか?

でも、本当にそうでしょうか。

これまで生きて過ごしてきたバックボーンが教師としての幅や深さになるのだったら、教師の仕事をきちんとやり、それ以外のことも楽しんでいる人と、仕事しかしない人ではどちらの方がよい教師になるのかは明らかだとは思いませんか?

毎日遅くまでたくさんの仕事をすることは、とても尊いことだと思います。

しかし、それだけで終わらないでください。

どうぞ豊かな毎日を過ごし、豊かな経験を積んだ、素晴らしい教師を目指してください。

それぞれの人には、それぞれ違ったバックボーンがあります。

そのバックボーンが生活様式を決め、その生活様式がまた新たな考え方を生みだしていくのです。

もしあなたに目標とすべき人がいるとしても、バックボーンが全く違うその人に似ている教師になるわけがありません。

しかし、目標はあった方がいいです。自分の進むべき道がかすかでも浮かび上がるからです。

何もない 荒野を1人で歩くより、わずかでも轍(わだち)があった方が心強いでしょう。

でも、それをそのままたどるのではなく、目標をそのまま目指すのでなく、自分という教師とは何か、どうしたらよい教師になるかを問い続けながら、目指してみてください。

いや、それは目指すものではありません。

毎日充実した生活を過ごし、一生懸命努力してきたら、そうなっていたというべき教師像だと思います。

あなたの生き方が、あなたという教師になるのです。