リレー指導について具体的な事例を挙げたいと思います。
授業で活用していただけると幸いです。
目次
「バトンパスドリル」
ねらい
バトンを落とさず、スムーズにつなげることができる技能を身に付ける。
方法
○チームで縦に並んで、バトンを後ろから前へ渡していく。
○前の人の右側後方に立つ。(受け手が肩の高さで腕を横に広げた時には、渡し手は受け手の手のひらの位置の後ろに立っている。)
○バトンパスをしていないときは腕を振っている。
○慣れてきたら、ジョギングしながら行う。
期待できる効果
○全力で走るための練習ではないが、バトンパスがスムーズに行われないと記録が向上しないことも考えられるので、必要な練習である。
○このドリルによって以下の技能が短時間で効率的に身に付く。
・受け手までの距離感をつかむ。
・渡し手は受け手の右側後方に向かう。
・渡し手は受け手の手のひらにバトンをしっかりと押し込む。勝手に手を離さない。
・受け手は「ハイ!」と言われてから腕を肩の高さで横に出して、手のひらを開く。
・受け手は出した手を動かしてバトンをもらわない。
教師がおさえるべき指導のポイント
○バトンの渡し方
・バトンが受け手の手にふれても、勝手に離さない。
・受け手がバトンをつかんで持っていくまで、しっかりにぎっている。
○バトンの受け方
・「はい!」の声で腕を肩の高さで横に出して、手のひらを開く。
・手を動かしてバトンをもらわない。
・手のひらにバトンが押し込まれたら、奪い取るような感覚でもらう。
「出口でつかまれ!」
ねらい
受け手が最高速度に達している時にバトンパスができるよう、「受け手のスタートのベストタイミング」を探す。
方法
○鬼役(渡し手)はスタート地点から全力で走ってくる。
○逃げ役(受け手)は練習コースの出口でちょうどつかまるように、全速力で逃げる。(テークオーバーゾーン内をA・B・Cに分けておき、Cで捕まると高得点!というようにルール設定をしておくとよい。)
期待できる効果
○受け手も渡し手も全力で走りながらバトンパスをする感覚を味わうことができる。
○鬼遊び感覚なので渡し手は追いつこうと最後まで必死になって走る。
○出口に近ければ近いほど受け手は加速を終えており、最高速度に達している状態でバトンパスをするための経験を積むことができる。
○受け手にとって最良のスタートのタイミングを遊び感覚の中で探ることができる。
教師がおさえるべき指導のポイント
○最初からバトンを持たせると、バトンパスを成功させようとする意識が働くため、どうしても受け手はスピードを調整してしまうので、鬼遊び感覚で行う。
○鬼役(渡し手)は逃げ役(受け手)の肩にタッチする。
○もし、追いつきそうになくても、テークオーバーゾーンを出るまで全力で走る。
○ダッシュマークの位置が固まりつつある時点でバトンパスも取り入れてよい。
○逃げ役(受け手)だけでなく、鬼役(渡し手)も走り出しの姿勢を意識させる。
○出口付近に点数表示をして、チーム内で競わせてもよい。
○出口付近で捕まることができても、力をセーブしてバトンをもらうのでは意味がないので、タイムをとったり、別の児童が並走したりしてもよい。
○スタートを切るためのダッシュマークをしっかりと付けさせて、結果に応じてダッシュマークの位置を遠ざけさせたり近づけさせたりする。
「減速禁止!」
ねらい
並走する第3者に負けないよう、全力で走りながらバトンパスをするとともに、減速の少ないバトンパスができているかを周囲の目によって確かめる。
方法
○AとBはスタートラインに立ち、合図とともに全力で走り出す。
○BはCにバトンパスをする。Aは最後まで1人で走る。Aに勝つためにはB・Cはバトンパスをスムーズにできなければならない。
○他のチームと2対2で勝負することもできる。
期待できる効果
○競走をしている感覚をもつことができるので、渡し手も受け手も全力で走ることができる。
○周りで見ている児童にとって、減速の度合いを見取りやすい。
○並走者も全力で走るので、練習中の運動量も増える。
教師がおさえるべき指導のポイント
○見る側には勝ち負けにこだわらず、バトンパスのスピードが落ちなかったどうかをしっかり見させる。
「折り返しリレー」
ねらい
効率よくバトンパスの練習をする。
方法
○①と②がバトンパスを行う。
○②はコーンまで走りきる。
○②はコーンを折り返し、③の準備(ダッシュマークをつけるなど)が確認できたら走り出す。
○②と③がバトンパスを行う。
○以後これを続ける。
期待できる効果
○最初の定位置に付けば移動がないので、くり返し何度も練習を行うことができる。
○リレーの際、第1走者は渡し手のみ、最終走者は受け手のみの体験となるが、この練習では全員に受け手と渡し手の体験をさせることができる。
教師がおさえるべき指導のポイント
○コーンを回るときにスピードが落ちるので、コーンからテークオーバーゾーンの入り口までは十分な距離を確保する。
○コーンで減速した後、すぐに全力で走り出すことを指導する。