跳び箱の指導法 まとめ




6年間を見通した指導内容と活動例

低学年 跳び箱を使った運動遊び

指導内容

跳び箱を使って跳び乗りや跳び下りをしたり遊んだり、馬跳びやタイヤ跳びをして遊んだりする

切り返し系・回転系

〇踏み越し跳び

・片足で踏み切って跳び箱に跳び乗ったり、ジャンプして跳び下りたりすること。

〇支持でまたぎ乗り、・またぎ下り、支持で跳び乗り・跳び下り

・数歩の助走から両足で踏み切り、またいだ姿勢で腕を支点に体重を移動させてまたぎ下りたりすること。

・数歩の助走から両足で踏み切り、跳び箱に両手をついて両足で跳び乗ったり、ジャンプして跳び下りたりすること。

〇馬跳び・タイヤ跳び

・両足で支持してまたぎ越すこと。

中学年 器械運動

指導内容

基本的な支持跳び越し技(切り返し系、回転系)に取り組み、それぞれの系について自己の能力に適した技ができるようにする。

指導に際しては、すべての児童が運動の楽しさや喜びに触れることができるよう、技に関連した易しい運動遊びを取り入れたり、優しい場や条件のもとで段階的に取り組めるようにしたりする。また、基本的な技に十分取り組んだ上で、それらの発展技に取り組むことができるようにするよう配慮する。

切り返し系

[基本的な切り返し系の技の例示]

〇開脚跳び

・助走から両足で踏み切り、脚を左右に開いて着手し、飛び越えること

発展技大きな開脚跳び

かかえこみ跳び

回転系

[基本的な回転系の技の例示]

〇台上前転

・助走から両足で踏み切り、腰の位置を高く保って着手し、前方に回転しながら体を開いて着地をすること

高学年 器械運動

指導内容

基本的な支持跳び越し技(切り返し系、回転系に取り組み、それぞれの系について自己の能力に適した技が安定してできるようにするとともに、その発展技ができるようにする。)

指導に際しては、すべての児童が運動の楽しさや喜びに触れることができるよう、技に関連した易しい運動を取り入れたり、優しい場や条件のもとで段階的に取り組めるようにしたりする。また、選んだ技に十分取り組んだ上で、それらの発展技やその他の技に取り組んだり、ペアやグループで動きをそろえて演技をしたりすることができるよう配慮する。

切り返し系

[切り返し系の技の例示]

〇安定した開脚跳び

・助走から踏み切り・着手・着地まで、一連の動きとしてスムーズ跳び越えること

〇大きな開脚跳び

・助走から両足で強く踏み切り、脚を左右に開いて着手し、強く突き放して跳び越えること。

〇かかえ込み跳び

・助走から両足で踏み切って着手し、脚を抱えこんで跳び越しをすること。

回転系

[回転系の技の例示]

〇安定した台上前転

・助走から回転して着地まで、一連の動きとしてスムーズに飛び越えること。

〇大きな台上前転

・-助走から両足で強く踏み切り、腰を大きく開くとともに膝を伸ばした姿勢で着手し、台上で回転して着地をすること。

さらなる発展技首はね跳び、頭はね跳び




開脚跳びの指導法

児童に示す技能ポイント

教師がおさえるべき技能ポイント

①両足をそろえて、強く踏み切る。

②跳び箱の奥に上から手を着く。

③跳び箱をつきはなして、前を見る。

④膝を曲げて着地する。

予想される児童のつまずきと声掛け・補助

両足で踏み切れない

「助走の最後の一歩のあと、両足をそろえて、強く踏み切ろう。」

場:踏み切り板にケンステップや両足の足型を置く。

跳び箱の手前や中央に手を着いてしまう・手がすべる

「音が出るように上から手を着こう。」 「手は肩幅にそろえよう。」「跳び箱の奥に手を着こう。」

場:跳び箱の奥に線や手形などの目印を置く。

手でブレーキをかけて跳び箱の上で止まってしまう・手でかいてしまう・体を起こすことができない

「両肩を前に出してみよう。」「手を着いた後、一度手を叩こう。」「視線はマットの先を見よう。」

場:ウサギ跳びの練習を行い、手を前に出して体を起こすようにする。

場:またいだ姿勢で、腕を支点に体重を移動させ、またぎ下り、腕で突き放す練習をする。

場:連結跳び箱を置き、段差をつける。 (手前2段 奥4段 → 手前1段 奥4段)

補:腕の付け根を持ち、太股の裏を押し、体を切り返してあげる

止まって着地できない

「手を前に出して、ピタッと着地しよう。」 「着地する時に少し膝を曲げてみよう。」

台上前転の指導法

児童に示す技能ポイント

教師がおさえるべき技能ポイント

①両足をそろえて、強く押すように踏み切る。

②跳び箱の手前に手を着き、腰を高く上げる。

③あごを引いて、背中を丸めて回る。

④膝を曲げて、ふわりと柔らかく着地する。

予想される児童のつまずきと声掛け・補助

手と足を同時に着いてしまう

「踏み切り板に両足をドンと着いてみよう。」 「踏み切った後に手を着こう。」

場:踏み切り板にケンステップや両足の足型を置く。

おしりから着地してしまう

「手は手前に着こう。」

場:跳び箱の手前に線や手形などの目印を置く。

腰が高く上がらない

「跳び箱の手前に手を着いて『トン・トン・トーン』のリズムで腰を上げよう。」

場:カエルの足打ちで腰を上げる練習をする。

怖くて跳び箱の上を回れない

「安全な場をつくって練習しよう。」

場:跳び箱にマットをかけたり、跳び箱の両側にマットを敷いたりする。

場:セーフティマットの上で前転する。

頭頂部で回ってしまう、体が丸められない

「後頭部をつけて、おへそを見て回ろう。」

場:手前が1段低い連結跳び箱で前転する。(できたら手前の跳び箱を3段、2段と低くしていく。)

補:首の後ろ(丸めてあげる)とおしりに手を添える

真っ直ぐに回れず、跳び箱から落ちてしまう

「目を開けて、膝を見ながら回ろう。」 「マットでまっすぐ回ってから練習しよう。」

場:ラインマットや1段連結跳び箱で練習する。

着地で、ぴたっと止まれない

「着地の時に膝を曲げて、柔らかく着地しよう。 」 「着地をする時に手を前に出そう。」

場: 跳び箱に腰をかけ、ゆりかごの状態から着地する。

大きな開脚跳びの指導法

児童に示す技能ポイント

教師がおさえるべき技能ポイント

①足をそろえて、強く踏み切る。

②腰を高くし、体をまっすぐにして、跳び箱の前方に上から手を着く。

③とび箱をつきはなして、前を見る。

④膝を曲げて着地する。

予想される児童のつまずきと声掛け・補助

最後の一歩が小さく、勢いがつかない

「最後の一歩を大きくして、勢いをつけよう。」

場:踏み切り板にケンステップや両足の足型を置く。

腰が低く、体を水平にできない

「遠くに手を着き、腕で体を支えよう。」「ゴムを越えて、腰を高く上げられるようにしよう。」

場:調整板を1~3枚程度入れる。

場:跳び箱の手前にゴム紐を伸ばし、ゴム紐を越えるように腰を高く上げる。

手でブレーキをかけて跳び箱の上で止まってしまう・手でかいてしまう

「両肩を前に出してみよう。」 「手を着いた後、1度手を叩こう。」 「視線はマットの先を見よう。」

紅白玉を置いて、紅白玉が当たらないように、腕で突き放す練習をする

大きな開脚跳びの指導法

児童に示す技能ポイント

教師がおさえるべき技能ポイント

①両足をそろえて、強く押すように踏み切る。

②跳び箱の手前に手を着き、膝を伸ばして、腰を高く上げる。

③膝とつま先を伸ばして、ゆっくり回る。

④膝を曲げて、ふわりと柔らかく着地する。

台上前転と大きな台上前転とのちがい

予想される児童のつまずきと声掛け・補助

膝を伸ばして、腰を高く上げられない

「ゴムを越えて、腰を高く上げられるようにしよう。」

場:調整板を1~3枚程度入れる。

場:1段低い跳び箱の上に乗り、腰を高く上げてから、前転する。

場:跳び箱の手前にゴム紐を伸ばし、ゴム紐を越えるように腰を高く上げる。

回る時に膝とつま先が曲がってしまう

「膝つまピーンだよ。」 「つま先を目印に当てて、膝とつま先をしっかり伸ばそう。」

場:膝を伸ばした時に当たる位置に高跳びのバーなどを使って物をつるし、その物を蹴るようにし、膝とつま先を伸ばす。

ゆっくり大きく回れない

「ももに力を入れて、ゆっくり大きく回ろう。」

場:マットで、ゆっくり大きく回る練習をする。

かかえ込み跳びの指導法

児童に示す技能ポイント

教師がおさえるべき技能ポイント

①両足をそろえて、強く踏み切る。

②手を遠くに着き、膝を胸に引き付ける。 肩を前に出し、強く突き放す。

③目線を前に上げる。

④膝を曲げて着地する。

予想される児童のつまずきと声掛け・補助

最後の一歩が小さく、勢いがつかない

「目印に「ばん!」と足を着こう。」

場:ケンステップや両足の足型を置く。

怖くて足が開く、跳び箱の上に乗る

「手より前に足がくるように膝を胸に引き付けよう」

場:手をついて、すねや足の裏で跳び箱に乗る。いろいろなうさぎ跳び。

場:段階的な跳び上がる練習。(重ねマット→ステージ→跳び箱)

場:横向きの跳び箱を使う。

体を投げ出して肩を前に出せない

「音が出るように上から手を着こう。」「手で突き放したら正面を見よう」

場:低い跳び箱で練習する。

補:腕の付け根を持ち、太股の裏を押し、体を切り返してあげる。

首はね跳びの指導法

児童に示す技能ポイント

教師がおさえるべき技能ポイント

①助走の最後の一歩は小さく

②跳び箱中央に手を着き、腕で体をしっかり支える

③はねる前の腰角は小さくする(ためる)

④足を斜めに振り上げ、腕を強く突き放す

⑤膝を曲げてふわりと柔らかく着地する

予想される児童のつまずきと声掛け・補助

跳び箱に腰を打ってしまう

「もっと奥に手を着こう」

場:線・手形などの目印

はねのタイミングが遅い

「首が台の上に乗ったらすぐに手を強く押そう」

補:はねるタイミングで腕と腰を持って体を放ってあげる

腰を軽く上方に押してあげる

はねが十分ではない

「お腹を出して体全体を大きく反らそう」

場:舞台・マットで膝を伸ばした前転で着地

場:舞台・跳び箱で膝を伸ばした前転で着地

突き放しが弱くはねられない

「一回腕をぐっとしてから肘と膝をぽーんと伸ばそう」

場:舞台・マットで首はね

場:舞台・跳び箱で首はね

頭はね跳びの指導法

児童に示す技能ポイント

教師がおさえるべき技能ポイント

①強く高く踏み切る

②跳び箱中央に着手する

③前頭部(おでこ)を跳び箱に着く

④への字から足を勢いよく振り出す

⑤足を振り出しながら胸を反らす

⑥膝を曲げてふわりと柔らかく着地する

予想される児童のつまずきと声掛け・補助

腕の突き放しが十分ではない

「おでこをついて、腰が頭の真上にきたら、跳び箱を思い切り押そう」

場:舞台からの首はね→頭はね

場:連結(4段もしくは5段)跳び箱の上から頭はね跳び

はねが十分ではない

「お腹を出して体全体を大きく反らそう」

補:背中を下から持ち上げるように補助する