目次
特別支援教育とその目的・意義
特殊教育という名称が特別支援教育となったことが重要です。
特別支援教育
法改正前
障害の種類に応じて、盲学校・聾学校・養護学校による特殊教育体制
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・障害の重複化や重度化
・LD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症など
特殊教育から取り残されてきた障害児の増加
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特別支援教育の在り方に関する調査研究協力会議
一人一人の児童生徒の教育的ニーズを踏まえた適切な対応が図られることが必要
地域の障害児教育のための支援センター的役割を担うべき
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法改正
学校教育法が改正されて、平成19年4月1日より、特別支援教育体制に移行。
特別支援教育の目的と意義
学校教育法第72条
特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。
障害児等教育の一般的定義
心身に何らかの障害がある児童生徒に対して、普通教育の上にさらにその障害の特性、障害の程度に応じて特別の配慮をもって行われる教育
呼称の問題
こうした教育を法令上で「特殊教育」と規定(旧学校教育法)
準ずる教育
目的のこの文言は、幼・小・中・高と同様の教育目標と教育内容であり、そのうえで心身の状況に応じて適宜、配慮する。
自立活動
「障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授ける」とは、特別支援学校独自の教育目標で、それを自立活動という。
障害の分類・程度
施行令に規定する程度は特別支援学校への就学を義務付けるものではないことに注意
障害児の分類
①身体障害児
盲児・弱視児・聾児・難聴児・肢体不自由児・病弱児など
②情緒障害児
情緒的不適応児・神経症児など
③知的障害児
知的障害児など
④言語障害児
構音障害児・口蓋裂時・吃音児・言語発達遅延児など
⑤精神障害児
小児自閉症児・幼児共生精神病児・学習障害児など
障害の程度
(1)視覚障害児
両眼の視力がおおむね0.3未満のもの又は視力以外の視機能障害が高度のもののうち、拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度のもの
(2)覚障害者
両耳の聴力レベルがおおむね60デシベル以上のもののうち、補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが不可能又は著しく困難な程度のもの
(3)知的障害者
①知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの
②知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの
(4)肢体不自由者
①肢体不自由の状態が補装具の使用によっても歩行、筆記等日常生活における基本的な動作が不可能又は困難な程度のもの
②肢体不自由の状態が前号に掲げる程度に達しないもののうち、常時の医学的観察指導を必要とする程度のもの
(5)病弱者
①慢性の呼吸器疾患、腎臓疾患及び神経疾患、悪性新生物その他の疾患の状態が継続して医療又は生活規制を必要とする程度のもの
②身体虚弱の状態が継続して生活規制を必要とする程度のもの
認定就学
〇視覚障害者等のうち、市町村教育委員会が、その者の障害の状態に照らして、当該市町村の設置する小学校又は中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者を認定就学者という。
就学猶予・免除
障害が重度、または重複によって特別支援教育に耐えられないと市町村教育委員会が判断すれば就学義務が猶予、または免除される。
特別支援教育の教育課程
特別支援教育の教育課程については普通学校と対比させて覚えます。
特別支援教育の教育課程編成上の特例
合科授業
2つ以上の教科を一緒にして行う授業形態。
普通学校では小学校のみ規定されているが、特別支援学校では小・中・高等部で可能。
統合授業
教育課程の領域をあわせて授業を行う。
知的障害の児童、重複障害の児童を教育する場合、全部または一部について合わせて授業を行うことができる。
特別の教育課程
特別支援学校の小学部、中学部、または高等部において重複障害の児童・生徒を教育する場合
教員を派遣して教育を行う場合(訪問教育)、特別の教育課程によることができる。
また、特別支援学級でも同様。
教科書使用の特例
特別の教育課程による場合、検定済み教科書を使用することが適当でない場合、当該学校の設置者の定めるところにより、他の適切な教科用図書を使用することができる。
重複障害等に関する教育課程の取扱い
〇障害の状態により特に必要がある場合
各教科の目標及び内容に関する事項の一部を取り扱わないことができる。
各教科の各学年の目標及び内容の全部または一部を、当該学年の前各学年の目標及び内容の全部または一部によって、替えることができる。
自立活動
昭和46年に告示された特殊教育学校の学習指導要領で「養護・訓練」が設けられた。
平成11年の改正で「自立活動」に
目標
個々の生徒が自立をめざし、障害による学習上または生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培う。
内容
(1)健康の保持
(2)心理的な安定
(3)人間関係の形成
(4)環境の把握
(5)身体の動き
(6)コミュニケーション