「幼稚園」と「保育園」の違い




「幼稚園」と「保育園」の違い

「管轄が違う」のですがこれは、「目的が違うから」です。

保育園は、「児童福祉施設」です。

その目的は、「保育に欠ける子」を「親の代わり」に保育することです。

極端な言い方をすると「もし保育園がなかったら、乳幼児を家に放置してでもしなければいけない「止むを得ない事情」がある「保護者」」のために、代わりに保育をする施設です。そのような保護施設なので、厚生労働省の担当になります。実際はその事情が就労であることが多いのですが。

一方、幼稚園は「学校」です。家庭で保護者といるだけではできない教育(同世代との関わり等)をするところです。あくまで「子ども」のための「任意の学校」です。学校ですので、文部科学省の担当です。

このように目的が違うので、まず管轄が違います。




明らかに違うもの

何歳から?

保育園は0歳からです。止むを得ない事情は、子どもの年齢を考慮してくれないからです。

幼稚園は満3歳からです。同世代の子の影響を受けだすのがそれぐらいからです。

面倒を見るのは?

保育園は保育をするので「保育士」です。幼稚園は教育をするので「幼稚園教諭」です。

時間は?

保育園は8時間が標準です。「フルタイムで働く親」より長く預からないと意味がないですからです。時間が長いので、お昼寝があります。

幼稚園は4時間が標準です。子どもの負担にならない時間というのが根本の考え方です。お昼寝が必要なら家でとなります。最近でこそ預かり保育で夕方まで預かりますが、基本的に親の都合は考慮しません。また、お昼寝がある幼稚園もあります。基本的に、4時間で帰る前提の活動の中にお昼寝と昼食を入れたら、普通の活動時間なんて何も残りません。但し、夏休み中の活動だったり、預かり保育前提のこども園だったりではお昼寝をします。

幼稚園の通常の4時間の活動の中でお昼寝があるのかどうかは御確認ください。

お昼は?

保育園は給食が義務です。保育の余裕がない=お弁当を用意する余裕がないと判断だそうです。

幼稚園は自由です。お弁当を親子の関わりとみるか、みんなで同じものを食べる方がいいと考えるか等、何が食育としてふさわしいと考えるかは経営者の判断です。

休みは?夏休みとかは?

保育園は長期休みはありません。働いている親に合わせれば、盆と正月に少し休むぐらいです。週休二日の企業でも、夏休み・冬休みのある企業なんてないからです。

幼稚園は夏休み・冬休みがあります。小学校の前段階なのに、小学校より多く授業があるはずがありません。親が働いているかどうかという都合は考慮しません。

どうやって申し込むの?

保育園は自治体経由です。福祉事業ですから、本当に必要なのかを自治体が審査をします。

幼稚園は園と直接契約です。行くかどうか自由な学校に行きたいというからです。

料金は?

保育園は収入に依存します。生活が苦しいから共働きしなければいけない、という人を助けるための政策だからです。差額は自治体の税金で補填されるので、保護者の払う保育料にかかわらず、保育園には一定の運営費が払われます。

幼稚園は一定の金額です。子どもは平等です。特に区別も差別もありません。なお、授業料を下げたら下げただけ、そのまま差額全額幼稚園の赤字です。

同じ子どもなのに、保育園だけ補助されるのはおかしいという立場から、私立幼稚園就園奨励費補助金が始まりました。なお、保育料が一番高い人で比較して保育園>幼稚園となるように、自治体は保育料を設定します。「保育園のほうが安いからアルバイトして保育園に入る」という人が出始めると、赤字は増える(保育園のほうが税金投入が多い)、待機児童は増える、幼稚園が経営悪化して余計に保育園に流れる、の負のスパイラルが起こるからです。

名前について

教育機関として文部科学省と都道府県知事に認可された教育施設以外に幼稚園と名乗ることはできません。すべての小学校が○○小学校という名前なのと一緒です。なので、無認可の幼稚園というのはありえません。類似の物は幼児教室と呼ばれるでしょう。

逆に、保育所に名前の規定はありません。保育園でも、幼児園でも、保児園でも、○○広場でも自由です。ただし、学校でないので「幼稚園」だけは許されません。

認定こども園の場合、名称に「認定こども園」と含まれるようです。幼稚園部門として、文部科学省の管轄であっても、「認定こども園○○幼稚園」という名称でない園があります。幼児園という名称もよく見かけます。

保護者の役割について

保育園はそもそも保護者が面倒をみられない前提があるので、保護者参加も少なくなります。
幼稚園は保護者の保育をサポートするということになります。園へどれだけ出てくるかは園次第です。

保育内容の違い

「幼稚園=教育、保育園=保育であるなら、幼稚園は読み書きは教えてくれるし、園によっては英語も水泳も体操も教えてくれる」という誤解があります。

幼稚園教育要領に記載されている、幼稚園のする教育には、小学校の先取りは一切含まれておりません。早期教育はその園の方針であって、幼稚園すべてのことではありません。もちろん、早期教育をする保育園もあります。○○式という名前で有名になった教育方法を始めた園は保育園です。

幼稚園教育要領と、三歳以上に対する 保育所保育指針は、内容に大きな差異はありません。
なので、保育内容の部分で「幼稚園と保育園は違いますか?」と聞かれた場合、「幼稚園ごとの方針の違い、保育園ごとの違いが、幼稚園と保育園の違いをはるかに凌駕するので、一般論として答えようがありません」となります。