生活科指導法と目標




生活科の教科目標

生活科の教科目標は以下の4点で示されている。

「(1) 具体的な活動や体験をさせる(2) 自分と身近な人々、社会及び自然とのかかわりに関心をもたせる(3) 自分自身や自分の生活について考えさせる(4) 生活上必要な習慣や技能を身に付けさせる」とあり、究極の目標として「(5) 自立への基礎を養う」があげられている。

また、学年目標としては以下の4点である。

(1)自分と身近な人々及び地域の様々な場所、公共物などとのかかわりに関心をもち、地域のよさに気付き,愛着をもつことができるようにするとともに、集団や社会の一員として自分の役割や行動の仕方について考え、安全で適切な行動ができるようにする。

(2)自分と身近な動物や植物などの自然とのかかわりに関心をもち、自然のすばらしさに気付き、自然を大切にしたり、自分たちの遊びや生活を工夫したりすることができるようにする。

(3)身近な人々、社会及び自然とのかかわりを深めることを通して、自分のよさや可能性に気付き、意欲と自信をもって生活することができるようにする。

(4)身近な人々、社会及び自然に関する活動の楽しさを味わうとともに、それらを通して気付いたことや楽しかったことなどについて、言葉・絵・動作・劇化などの方法により表現し、考えることができるようにする。

である。

ここでは、4点の教科目標を軸に学年目標と対比して考えていく。




具体的な活動や体験

まず、1つ目は具体的な活動や体験をさせるである。具体的な活動とは、身体全体・五感を使い身近な人や社会、自然と直接かかわる体験をさせることである。

直接働き掛ける学習活動とは、見る・聞く・触れる・作る・探す・育てる・遊ぶなどがあり、例えば見るという活動を単体で行うのではなく、複数の活動を複合的に刺激して行くことが望ましと思われる。

また、身近な人と直接かかわることにより、集団や社会の一員としての自分の在り方を考えたり、人と適切に接したりできるようにすることが、自立への基礎を養う上で重要である。子どもが体全体で身近な環境に直接働き掛けられるようにし、同時にそれらの身近な環境が子どもに働き返してくるという双方向性のある活動をすることが重要であると思う。

また、その活動を通して、学年目標にあるように、その活動の楽しさやそこで気付いたことなどを言葉・絵・動作・劇化などによって表現することにつなげていく。

自分と身近な人々,社会及び自然とのかかわりに関心をもたせる

次に、自分と身近な人々,社会及び自然とのかかわりに関心をもたせることである。これは学年目標にもあるように、地域とのかかわりを一層重視し、地域の様々な場所とのかかわりに関心をもつことや、自分たちの地域に愛着をもつことができるようにすることと深くかかわっている。

愛着は、身近な人々や場所,公共物などに慣れ親しみ、それらに心がひかれ、離れがたく感じることで、地域の人々及び地域の様々な場所、公共物などと直接かかわる活動や体験を通してはぐくまれるべきである。

具体的事例

適切な行動として具体的には、身近な人々には自分の思いや願いをもって接することができたり、相手や場所の様子や状況を考えて接したり扱ったりすることができることである。自分の知っているおすすめの場所を教え合ったり、町たんけんの計画を立てる活動が挙げられる。子どもを取りまく人々、社会及び自然が自分自身にとってもつ意味に気付き、身の回りにあるものをもう一度見直し、新たな働き掛けをしたり表現したりなどすることを実践していく。

その中で親しみや知的好奇心・探究心を覚え、驚いたり喜んだりする活動や体験から、知的な気付きが生まれるはずである。

自分自身や自分の生活について考えさせる

次に自分自身や自分の生活について考えさせることである。生活科は、特に自分自身への気付きを大切にする教科であると思う。子どもが自分とのかかわりを深め、対象に気付くことで、そこに映し出される自分自身への気付きが生じるはずである。

自分自身への気付きとは、集団生活に馴染み,集団における自分の存在に気付くことや、自分のよさや得意としていること、また、興味・関心をもっていることなどに気付くことや、自分の心身の成長に気付くことである。自分の成長について聞いたことや資料をもとに、自分らしい成長の記録のアルバムを作る活動などが挙げられる。

このような成長は、個人や閉じた世界ではぐくまれるものではなく、学年目標にもあるように、様々な人と接することにより、他人を理解し、そして自分を理解することによって育まれるものである。具体的には、クラス内での活動だけでなく、学校内外関係なく、人々との交流(地域の施設・幼稚園・保育園・公園等)を積極的に取り入れ、訪問したりすることによって育てていく。また逆にそのような外の世界との関わりを体験していくことによって内なる仲間意識や帰属意識が育まれることになると思われる。

生活上必要な習慣や技能を身に付けさせる

最後に生活上必要な習慣や技能を身に付けさせることである。生活科は、子どもが身近な人々、社会及び自然と直接かかわり合う中で、それに必要な習慣や技能を身に付けることを目指している。生活上必要な習慣とは、健康や安全、みんなで生活するためのきまりに言葉遣いや身体の振る舞いにかかわることである。

また、生活上必要な技能とは手や体を使うこと、様々な道具を使うことなどがある。おもちゃを作り、楽しく遊んだりすることにより、楽しく成長させることができると思う。様々な習慣・技能・知識を身につけていくことにより、より生活を豊かに幅広いものにしていく目的があると思う。

このような目標の中、究極的な目標「自立への基礎を養うこと」がある。自立とは学習活動を自ら進んで行う学習上の自立、基本的生活習慣や生活技能を身に付け自らよりよい生活を創り出していこうとする生活上の自立、自分のよさや可能性に気付き、意欲や自信をもつことで、自分自身の在り方を強化していく精神的な自立があり、それぞれ相互的にしっかりと育てていきたい。