学校における性教育

平成14年4月から全国の小・中学校で実施されている新学習指導要領は、子どもたち一人一人への指導を展開し、「生きる力」という理念の共有、基礎的・基本的な知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力等の育成、確かな学力を確立するために必要な時間の確保、学習意欲の向上や学習習慣の確立、豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実をねらいとしている。そのため、新学習指導要領では、習熟度別などの児童生徒一人一人に応じたきめ細かな指導や体験的・問題解決的な学習を重視している。




現在の性教育

文部科学省においては、平成16年度から学校における性教育の取組事例集の作成及び効果的な指導方法について実践的な調査研究を行うこととする等、学校における性教育の充実を図るための施策を推進している。

また、同省において、平成17年度から、学校において性に関する適切な指導が行われるよう、教職員等を対象とした指導者講習会を実施する等、学校における性教育の充実を図るための施策を推進しており、学校における性教育については、人間尊重を基盤として、子どもの発達段階に応じて性に関する科学的知識を理解させるとともに、これに基づいた望ましい行動がとれるようにすることをねらいとして行われている。




今日の性に関する課題

しかしながら今日、性に関する事件が多発・低年齢化してきている。若者における性行動の低年齢化と平行し、10代の性感染症や人工妊娠中絶率の増加が著しく、健康問題としてその対策が迫られているのが現状である。

さらに、援助交際などの広まりとともに性を商品化する行動の広がりも問題視されている。10代の性感染症の増加や、人工妊娠中絶の実施率が増加している背景として、性に関する不正確な知識、無防備な性行動などがあげられる。

さらに、核家族化や少子化により、子どもたちのコミュニケーション能力の発達が阻害されていることも原因の一つである。また、アイデンティティの確立が不十分な段階では、適切な自己主張や判断が困難であるため、誤った情報に流されたり、安易な性交に至ったりしまうことも指摘されている。こういった背景から、現在の思春期における性教育の是非、またその効果の具合について見直すことが必須且つ重要な確認事項であると思う。

学童期の性教育

学童期の性教育では、学校の教員や養護教諭ばかりでなく、産婦人科医や泌尿器科医の学校協力医や心ある保健師、看護師、助産師などの外部からの協力を仰ぐべきであると考える。この時は、学校長をはじめとする学校職員の性教育に対する統一の見解が必要で,何をどこまでどの教材やどの言葉を用いて教育をするのか、職員の理解とコンセンサスが大切であり、父母会からの支援と協力も必要であると思う。

さらに、特定の性的にとくに活発な者にはクラス担任や養護教諭と協力して、学童期メンタルケアの専門医も含めた学校協力医が個別指導を行う必要もある。発育段階に応じた性の指導計画は、低学年・中学年・高学年とそれぞれ段階的に行っていくべきであり小児期、学童期には家庭では親とのコミュニケーションをよく持つことが必要であると考える。

学童期は,脳の発達がほぼ大人と同じになり,基本的な教育により、知的機能が飛躍的に伸び,特に記憶力は優れている。学習意欲も旺盛で,個性もはっきりしてくる。つまり、個人差がとても大きく、全体を一つと考える教育や、知識を押し付ける教育は効果的なものではなく、むしろ、親・教育者は子どもに自分の意見を押しつけるのではなく、子どもが考え、判断するチャンスを与え、子どもが行ったことをほめる姿勢が大切であると感じる。これらは、自尊心、自己判断力と決定力、行動力を養うのに有効で、自己肯定感をはぐくむ力となるはずである。

一方学校では発達段階に応じより、命の誕生、命の大切さ、自分を大切に思う気持ち、小さい者や弱い者、老人、障害を持った者を大切にして、共に生きる姿勢を養う教育が必要である。これは地域の施設や資産を最大限利用することは当然だが、各メディアも活用可能な有能な資料となりうる。

例えば、自分は学童期に学校において映画「ほたるの墓」を鑑賞し、生命の事柄に関して多大な影響を受けた。このようなメディアの教材研究を行い、授業に生かすことにより、言葉で説明するだけのものより作品を通しての有用な授業になると思う。

リプロダクティブ・ヘルス/ライツ

リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは

リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する意識の浸透も重要であると考える。リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは、家族計画・母子保健・思春期保健を含む生涯を通じた性と生殖に関する健康、という意味であり、人々が安全で満足のいく性生活をもてること・子どもを産む可能性をもつこと・子どもを持つか、持たないか、子どもを持つならいつ、何人産むかを決める自由を持つこと・男女ともが、自分の選んだ、安全かつ効果的、また安価で利用しやすい出生調節法についての情報を得、またその方法を入手することができることなど単に病気がないあるいは病的状態にないということではなく、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることをいう。

このような考えは、自分は学童期から徐々に浸透さて行くべきであると考える。前述したとおり、性行為・性犯罪の低年齢化は年々進んでおり、性教育に関する変化が求められている。環境の変化・社会の変化等があり、それに対応していかなければならないと思う。児童期より家族や命に関する教育を積極的に行っていき、段階を踏んで成長させていくことが望ましいと思う。

学校教育という観点

学校教育という観点からは、子どもの発達段階に即し、男女平等の精神に基づく性教育を徹底させ、相互を大切に理解し合うことのできる人権教育学校・家庭・地域の連携により、思春期の男女に対する性と生殖に関する性教育の充実に努めることが掲げられている。

これらの項目を踏まえつつ、各発達段階に応じた臨機応変な教育が必要であり、これが正解、という解は存在しえない。重要なのは常に最適な教育を求めることであり、児童期という枠にとらわれず、各個人に対応した性教育が最も効果があるものだと思える。