生活科指導の特質




第1の特質

子どもの身近な生活圏を活動や体験の場や対象にする。

生活科では、子どもの日常生活において意味をもち、意義のあることを取り上げるようにする。それを教師の指導の下で、他の子どもと交流しながら自覚させていく。

第1学年

第1学年の生活科で、学校の施設や自然の様子、学校生活を支えている人がいることが分かり、楽しく安全に生活するという目標の中で、学校の施設を見学することで、普段の生活をより一層楽しめるものとし、活発化させ、生活の幅を広げることができる。

第2学年

第2学年では自分の住んでいる地域の自然や人々、建物等を見たり調べたりして、たくさんの人々との関わりに気づき、それらの人々と適切な対応ができるようにするとともに、自分の町に愛着が持てるような目標での活動において、多種多様な目的をもって地域内を見学することにより、学校内だけでなく、普段の生活をより充実したものに活かすことができる。

その普段は何気ない一面を、楽しい・面白い・気持ちよいといった心地よい感情や情緒を感じ取りながら、気づいたり思ったり考えたりしたことを、表現したり行動にして表したりできるよう教師は誘導しなくてはならない。




第2の特質

人、社会、自然を一体的に扱う。

子どもは身近な生活圏で出会う人、社会、自然を一体的に感じ取る傾向が強く、自分とのかかわりにおいて一体的にとらえる。

第1学年では、身近な自然に関心を持って関わり、季節の変化に気付くことができるという目標を設定し、身近な自然とは、すなわち、学校内の自然、地域の公園を指しており、季節の変化とはそれぞれの季節の特徴を肌で感じ、体験することで、日本特有の四季を学ぶことができる。また、自分の生活している地域にどのような動植物が存在しているのか、また、季節の変化におけるそれらの変化を実際に目にすることにより、感受性を高め、五感を存分に使い、多角的な受動と共にそれらを表現する場へとつなげるのが教師の務めであると思う。

観察において見たものを(例えば花などを)絵に描いて表現する。同時に特徴(におい、触感等)も体感することにより、受動感性、表現感性と多面的感覚を育成させることが可能である。

行動することと、思考し判断し表現することは、この時期の子どもの発達特性として一体的になされる傾向が強い。その時々の子どもの行動とともに表れる思考や判断、表現を一体的にとらえるようにすることが大切になる。低学年の児童なりのその発達に即した学び方や考え方、問題解決の仕方があり、生活科はそれを重視していると思う。

第3の特質

子どもが自らの思いや願いを実現していく過程を重視する。

生活科では、遊びも欠かせない学習活動である。子どもが強い課題意識をもって熱中して遊ぶときは、その活動は子どもにとって真剣な学びや問題解決の場になっているはずである。自然や物と一体となって、遊びを作り出す喜びや夢中で遊ぶ楽しさを味わい、遊びを通して、自分の思いや願いを実現し、満足感を得たり自分らしさを出したりすることができるよう、児童の意見や発想を最大限活かせる背景を設定させることが重要である。

これは生活科の時間に限定されるものではなく、生活科の授業の際に採用した遊びが休み時間にも適用されたりと、授業以外で活用されることを想定しなければならないはずである。また、授業外で昇華したものを、再び授業にフィードバックすることで、更なる研磨が期待できる。ドッチボールなどを一例にとっても、その細かなルールは多岐にわたり、そのクラスにあった、また遊ぶ際の人数や場所といった状況に合わせたルールの適用・改正による最適化を、児童と一緒になって試行錯誤していく過程を重視しなくてはならない。

活動を通して子ども一人一人が、自己の内に生まれる思いや願いに気付き、それを自覚しながら、その実現をめざして一層活動する中に、「自ら学び考え、よりよく問題を解決する学習指導」が行われることが大切である。

それらの活動の中で子どもの思いや願いがどのようにはぐくまれ、実現されているか、その過程を見届けて、価値ある方向に導いていくことが教師の大切な仕事になると思う。

第4の特質

身近な人々、社会及び自然についての気付きとともに、そうした気付きをする自分自身の成長にも気付くことができるようになることを重視している。

第1学年

第1学年では、いろいろなできごとを振り返る中から、自分自身の成長の様子に気付くとともに、さまざまなことができるようになったことを実感し、2年生に進級することへの喜びと期待を持てる児童を年間を通して指導する。

第2学年

また、これを踏まえた上で第2学年では自分の成長に関心をもち、ふり返ることを通して自分が成長してきたことや、成長の背景には多くの人の支えがあったことに気付くとともに、成長を支えてくれた人に感謝し、意欲的に未来に向かって生活しようとする態度を育てる。

年間を通して成長したと思うことを児童自身に考える時間を設け、それを各々が発表する。自分自身の成長だけでなく、他人の成長具合に刺激を受け、相互的に成長させることを狙いとしている。また、周囲の人々の支えの中で生活してきたことを再確認させ、周りへの感謝の気持ちを深いものにしていきたい。

驚き,感動,発見し,不思議に思い,自ら考えるなどして気付いたことが,その後の子どもの学習や日常生活に返っていくと思われる。