社会科教育と問題解決学習

社会科の教科書では児童・生徒の興味・関心を高め,意欲的に問題解決学習が展開されるよう構成等にさまざまな工夫が行われている。そのなかで問題解決学習にはそれぞれ単元毎に、ねらいや目標があり、それを達成するために学習課題を設定する。一般に問題解決学習の学習活動の流れは(1)問題(課題)の設定・把握(2)問題の追究・仮説の検証(3)結論の吟味という順番で行われる。




学習課題の設定

まずは学習課題を設定するが、単元のねらいを達成するような学習課題設定でなければならない。学習課題は学習のねらいや目標と深く関わっており,毎時間設定されるが,問題解決学習では単元を通じて追究される学習課題であることが重要である。導入で見学などの体験やビデオ教材,読み物資料等を提示し、それらをもとに疑問点などを出させて学習課題をつくることが一般的に行われるが、導入段階での学習課題と単元全体の学習課題とを区別して考える必要がある。

6年生の例

小学校6年生の政治のはたらきという単元において、具体的な事例を取り上げて政治の働きを学ぶ場面があるが、公共施設の建設や地域の再開発や防災・災害復旧などの事例が取り上げられることになっているが、公共施設を調べそこの紹介をするだけで終わってしまったのでは、この単元の目標が達成されたとはいえない。つまり、知識のみの伝達ではなく、児童に疑問を持たせる事に焦点を当てた事例を提示しなくてはならない。

問題解決学習における問題設定・把握とは、問題を設定するだけに止まらず、問題解決のための仮説を立てたり、仮説を検証する方法や手順を考え計画を立てることを含んでいる。したがって問題解決学習においては学習課題を作ったり設定したりすることがもっとも重要な作業であると思われる。

5年生の例

5年生の米作りの単元では、米の産地別売れ高調査の結果をもとに「消費者に喜ばれる米は、どのようにつくられているのか」という学習課題を設定している。この単元の学習課題を追究するために「消費者に喜ばれる米をつくるために、土や水をどのように管理しているのか」「消費者に喜ばれる米をつくるためにどのような工夫がなされているのでしょう」といったような問題提示・課題を設定し、これらの課題は単元の学習課題を追究するために何について調べればよいかを明確化する、というような過程である。

また、学習者の探究や解決にむけての意欲を引き出す、追及に値する「問題」(課題)が学習課題それ自身に包含されていることが重要である。「消費者に喜ばれる米は、どのようにつくられているのでしょう」という学習課題では「消費者に喜ばれる米作りの秘密とは」という究課題があり、これを探ろうという学習意欲がその後の学習を進める原動力となる。




問題の追究・仮説の検証

次に、問題の追究・仮説の検証であるが、問題解決能力を育てる学習過程においての問題を調べる・練り上げる・まとめる過程である。問題の解決に向けてどういう情報が必要なのか、その情報はどこで入手できるのか、どういう情報収集の方法があるのかなどの見通しを立てて学習に取り組む必要がある。

前述の米作りの単元では実際に農家へ赴き、人と関わり、情報・知識を得るだけでなく、問題に直面している人々の願いや思いを知り、その願いや思いに共感する心を育むことが大切である。それにより、問題の共有化が図られ、切実感をもって問題の解決に取り組むことができ、さらには社会的な交流性を育成することも可能である。

また、問題を練り上げる・まとめる作業では、調べたことをそのまま発表するだけで、実際は発表者も、聞き手も内容をよく理解できていないという事態を避けるために行う。同時に、問題意識や追究の場を仲間(他者)と共有することを経て、一人一人の追究意欲を相互促進的に支え合い、高め合うことが大切である。協同的な学習の中で意欲的に学習に取り組む姿でグループ全体の学習意欲を誘発することも可能である。

結論の吟味

最後の結論の吟味では、自己評価・相互評価を行う過程であり、設定した学習課題を各児童が満たしているかを判断し、確実な解決方法に昇華させることである。

評価には生徒が自分で学習内容や学習活動・学習意欲・学習態度などに関して自分自身を評価する自己評価、他者の判断と自分の判断とを照合して、自分の学習を振り返ったり、自分の考えを見直す相互評価を通しての評価の場を設ける必要がある。

具体的には上述のような単元下において発表時間を設けることである。分かりやすく伝える・根拠となる資料を明確にする・発表の際において、他のグループの発表を認め合う・公正な視点をもって判断をするといったことに注目させ発表の時間を設定することが大切であると思われる。

問題解決学習では、このような調べ学習や発表会など生徒の主体的な活動を促す場面を数多く設定することで、調べ方や表現の仕方など自ら問題解決に取り組むための能力を成長させることができる。また、意見交換を通して学習の共有化が図らせ、互いの成果を認め合うことで一人一人に充実感や自己効力感が生じ、他者に自分の考えを伝えようとする意欲を高めることが必要である。