教員採用試験で少しでも有利になるようにと、隣接校種免許の取得や、二種から一種、一種から専修への上進を考えている講師の先生も多いことでしょう。免許種の追加や上進が採用試験で有利になるかどうかはさておき、隣接校種免許の取得や免許の上進をする際には、学校での勤務経験があれば、大学での単位修得のみによる方法(教育職員免許法第5条別表1)よりも少ない負担ですむ場合があります。
必要な勤務経験年数
必要な勤務経験年数は下記のリンク先をご覧ください。
所持する免許状を上進する場合(教育職員免許法別表3)
隣接校種の免許状を取得する場合(教育職員免許法別表8)
非常勤講師の勤務経験年数
常勤講師の経験年数は免許申請用の経験年数として100%有効です。非常勤講師の場合は1週間に担任する授業時数によって100%にならない場合があります。この点に関する取り扱いは都道府県教委によって差があります。
なお、法律では「講師として良好な成績で勤務した旨の実務証明責任者の証明を有することを必要とする最低在職年数」とあります。「自分は”良好な成績で勤務した”と認められるだろうか」と不安になる向きもあるかもしれませんが、よほどのことがない限り証明してくれますのでご安心を。
常勤か非常勤か~「教諭」へのステップとして
講師として勤務している人の中には、教員採用試験に合格して教諭となることを目指している、いわゆる教採浪人の人も多くいます。講師勤務と教採対策を両立させる上で、常勤と非常勤、どちらの勤務形態が良いのでしょうか。
児童生徒と深く関わることができる、教員としての経験を積むことができるという点では、常勤講師が有利でしょう。非常勤では授業以外で子どもと接することは殆どありませんが、常勤であれば毎日の清掃や給食、部活動や行事など、様々な角度から子どもと接することになります。小中学校では常勤講師がクラス担任を受け持つこともあるので、保護者対応の経験を積むこともできるでしょう。常勤講師としての経験が直接的に教員採用試験で点数化されることはないと思われますが、自身の経験に基づいて説得力のある発言ができれば、面接や集団討論で高い評価を得られるでしょう。
常勤講師の最大のデメリットは、学習時間の確保が難しいことです。平日は翌日の授業準備や分掌業務で遅くなることが多いです。中学校・高校では部活動の指導で土日に学校へ出ることも珍しくありません。そうした中で、教員採用試験に向けて十分な学習時間を確保することはとても困難です。常勤講師を経験した上で、「今年は教採に集中したいから、非常勤講師しかしない」という話もよく聞きます。
ある程度進学率の高い高校での勤務であれば、授業準備が専門教養試験の対策を兼ねられる部分もあります。しかし、それ以外では講師としての勤務が筆記試験対策につながる部分は少ないです。必然的に、常勤講師として得られる経験と、学習時間とを天秤に掛けることになるでしょう。