学級崩壊について




学級崩壊とは

学級崩壊とは「子供(達)が教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、授業が成立しない学級の状態が一定以上継続し、学級担任による通常の手法では問題解決ができない状態に至っている場合(学級がうまく機能しない状態)」(文部科学省)であり、その原因ついては単一的なものではなく、いくつかの原因が複合的に組み合わさっている場合が多い。

教師の教育不足や学級経営の失敗である教員に原因がある場合、いじめや学級内の人間関係、また軽度発達障害児(学習障害やADHD)の児童生徒が誘因となる授業の遅れ・荒れによる児童に原因がある場合がある。少子化の影響で兄弟が少なく、兄弟喧嘩による相手への痛みの配慮が欠け、また、集団行動を強制する学校での行動に自分を絶対的に思い、他人のことを考えられない子供が増加しているのも要因のひとつだ。

学級崩壊の要因

現在の学校教育のシステムは、保護者が学校に協力的で、子供も教師の言うことを素直に聞くという伝統的学校文化を前提として成立しているので、現在の学校教育のシステムが、社会の変化・児童、保護者の変容に対応しきれていない可能性もある。また、保護者・学校(校長)に原因がある場合が考えられる。

戦前や高度経済成長期以前は多くの保護者にとって高学歴をもつ教員は不可侵の存在だったが、保護者の中にも高学歴者が一般化し、教職に関する知識を持つ保護者が増え、それにともない教員の批判が増加した。

これにより、子供たちの行動が保護者により正当化されることがあり、保護者の変容が結果的に学級崩壊を引き起こす要因のひとつとなってしまっている場合がある。この背景には近年における教師の地位の低下が挙げられる。塾の興隆・地域スポーツ団などの習い事の存在によって公立小学校教師の地位が相対的に低下している、また、保護者・児童の権利意識の肥大というのも背景のひとつとなっている。

学校教育において権利意識を重視すると、教育をサービス業と捉えがちになってしまう。しかし、教育基本法にあるように人格の完成が教育の目的となっており、教科指導と同じぐらい生活指導が重視されるが、叱責を伴う人格教育・生活指導はサービス業としての教育とは相容れない状態だからだ。




学級崩壊を防ぐには

現在は、児童生徒・保護者が多様化しており、教育技術だけで学級崩壊を防ぐことは不可能であると思われる。そのため、学級崩壊を防ぐ方法についても様々な方法・指導理念が提唱・実践されている。

教師側の努力

ひとつに、教師側の努力を重視することで改善させる方向がある。方法は様々であるが、例えば、ひとつのクラスに複数の教員が授業を受け持つ形をとる方法だ。

これにより、多くの教員と触れ合うことで様々な人間関係・社会が生まれ、社会の多様性を生み、閉鎖性空の脱却の糸口になる。客観的な評価による早期発見にもつながり、チームティーチングによる教師同士の横のつながりも発生する。

また、自分の興味・習熟度に合わせた授業や、単一の年齢層だけでない授業をさせる方法もある。多くの選択肢を作ることで、多くの人間関係を生み、多様な社会を形成できる利点はあるが、当然、子供が能動的・積極的に受けることができる授業をすることが重要であることには変わりはない。

学校と地域の連携

学校と社会の関係も改善の重要な要素である。学校開放や参観・イベント行事によって学校の中に地域が入り込むことにより、地域との連携・問題の早期発見・家庭生活との関わり、そして地域の人々が叱りやすくなるなどのメリットがある。

また、家庭・学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・その他)との教育システム内部の連結部分の連携も重要になる。他の部分・機関まかせっきりになると、問題を早期発見できないだけでなく、自分のところにいる間だけ問題がおきなければよいという姿勢にもつながり、関係が希薄になってしまう。

このように、学級崩壊という問題は、一人の力では対応しづらく、周囲の協力が必要不可欠であると考えられる。学校全体で取り組む・保護者の協力・自分以外の教員の協力といったように周囲の協力が学級崩壊における早期発見・予防への最も重要な事柄だといえる。