初任者研修における講義内容とレポート内容を記載します。
参考になれば幸いです。数が多いので記事をいくつかに分けたいと思います。
目次
学校における食物アレルギー対応
研修を通して学んだこと
食物アレルギーの基礎知識
食物アレルギーは食後2時間以内に体中が赤くなったり、じんま疹が出たりする即時型が典型である。食物アレルギーのなかでも複数の臓器に重い症状があらわれるものはアナフィラキシーと呼ばれる。また、植物依存性運動誘発アナフィラキシーもあり、原因となる食品を食べた後に運動することにより症状が誘発される。そのため、普段では影響ないものでも原因アレルゲンになることから、症状が発生したら直ちに管理職・養護教諭等に連絡し対処する。
現在、エピペンを処方されている児童が増えてきている。エピペンの使用法も実践し再確認した。エピペンは使用後効果が5分以内に認められ、約20分間有効である。エピペンは救急用の補助として使用するものであるため、使用するとともに救急車を要請する。
アレルギー症状への緊急対応
本研修では学校におけるアレルギー症状への対応手順のビデオを見て、対応の流れを学んだ。アレルギー疾患への対応マニュアルの中の「アナフィラキシー緊急対応のながれ」をもとに対応していく。重要なポイントは二点ある。一点目は症状が出た時の即時対応である。症状が出た際に口内を確認し出させたり吐き出させたりする。また、学年の先生への応援を要請したり、内線を使用したりして対応人員を確保する。
二点目は症状発生時の時間、具体的症状、原因食品の確認・量を時系列で詳細に記録することである。
職務に生かそうと考えていること
緊急時対応、エピペンの使用方法を定期的に確認する
アレルギー症状には全身の症状から部分的な症状まで様々である。そのため、疑わしい症状は自分で安易な判断はせず、まず養護教諭に連絡し複数名で対処する。また、緊急性が高いアナフィラキシーの対応のためにエピペンの設置場所や使用方法も定期的に確認し、いつでも使用できるよう訓練をしておく。
緊急対応を行うための準備をしておく
現在担任している学級にもアレルギーの対応を必要とする児童が在籍している。そのため、アレルギー症状が出た時の対応を落ち着いて行えるよう対応マニュアルを教室の見やすい場所に設置しておき、症状が出た際に即時対応ができるようにしておく。また、症状経過を詳細に記録できる用紙を対応マニュアルとともに設置する。学校医・医療機関にはその記録をもとに報告していく。
いじめの防止と体罰の根絶について
研修を通して学んだこと
いじめ問題の実態
いじめの実態については東京都教育委員会の「いじめ問題に関する研究」から実態を把握する研修内容であった。いじめに関する調査の中で「いじめられたときに誰かに相談したか」という質問に対して「担任に相談した」と回答した児童が35%に留まっていた。この実態を重く受け止め、普段から児童の何気ない話も傾聴し、こちらからも積極的に話しかけ信頼関係を築く。いじめに関してだけでなく、何事も担任に相談しやすい環境づくりを行うことが大切であると学んだ。
いじめに対する具体的方策では「児童の意識を変える」「教員の対応力」「学校体制の整備」の三つの観点から講話があった。いじめ問題を発生させないために、児童の互いの個性の理解を図り、個性を生かせる学級づくりが必要である。互いの個性の理解には、児童の自分らしさ、友達のその人らしさを探す活動を、様々な時間の中で取り入れる必要があると学んだ。
いじめの早期発見のためには教員間の情報の共有が重要である。本研修内で情報共有の手段には何があるかを、話し合う活動も行った。その中で、放課後の教員同士の会話の大切さや、他学年の児童でも気になったことについて情報提供し、情報の共有につなげていくことの大切さを再確認した。一人で抱え込まず、組織的に対応していくことが必要であることも共有することができた。
職務に生かそうと考えていること
いじめ問題に教員として対応すべきこと
いじめに対して「未然防止」「早期発見」「早期対応」「重大事態への対処」の4つの段階に応じた教員の取り組み方に関する講話があった。その中で自分が特に注意していかなければならないと思ったことが二点ある。
一つ目は「未然防止」「早期発見」の中で、学級担任による問題を抱えた児童への積極的な働きかけである。問題を抱えていると思われる児童がいたら、まずは問題を把握することに努める。学校生活の中での児童の様子から、変化の原因は何なのかを把握する。「いじめのサイン発見シート」を参考に「食欲がなくなったり、だまって食べるようになる」「表情が暗く、会話も少なくなった」等の観点から普段の生活との違いを確認していく。朝の健康観察で気になった児童には、意識的に声をかけるようにしていく。
二つ目は担任に相談できる環境を整えることである。児童から信頼され、相談されやすい学級担任を目指す。児童からの信頼は一朝一夕に得られるものでなく、日常での児童と接する態度から得られると考える。学級でのルールや児童との約束を守るといった筋の通った指導や、児童の話を真剣に聞く態度を継続することで児童からの信頼を得ていく。
初任者教員に期待すること
研修を通して学んだこと
三つの願い
初任者教員に期待することとして、求められる教師像について三つの観点から講話があった。
一つ目は教職に対する強い情熱や使命感である。教師としての情熱や学び続ける姿勢は年々低下していくとのお話であった。学び続ける向上心や学びに対しての謙虚な姿勢は、変化の著しい社会や学校、児童に適切に対応するためにも必要な姿勢である。初心を忘れず、今後も多くのことを学ぶ姿勢をとり、自分の知識や技能を高めていくことに努める。
二つ目は確かな力量である。具体的には児童理解力、集団指導の力、学級づくりの力、学習指導・授業作りの力、教材解釈の力等がある。この力は学びによって身に付くものであるため、学び続ける姿勢から常に向上心をもってこの力を高めていくこと目指す。
三つ目は総合的な人間力である。教師には、児童の人格形成に関わる一人の人間として、豊かな人間性や社会性、常識と教養、礼儀作法をはじめ対人関係能力、コミュニケーション能力などの人格的資質を備えていることが求められる。児童は教師を見て育っていく。だからこそ、このような児童に育てたい、という願いをもったならば、まずは自分がその理想とする人間になることができるように、総合的な人間力を備えておくことが非常に重要であると学んだ。
三人との出会い
講話の中で出会うべき三人の人物についてのお話があった。
一人目はロールモデルである。こんな人にないたい、という目標とすべき人物である。目標とする人を決め、その人に近づくために、具体的な方法や身に付けるべき力をつけていく。
二人目はメンターという助言者である。自分の能力や現状を相談でき、適切な助言を言ってくれる人物である。初任者教員として多くの問題を抱えるため様々な面で相談をしていきたい。
三人目はスポンサーである。スポンサーとは自分を認め、理解し支えてくれる人物である。自分本来の力を発揮できる環境には、認められるという満足感や、支えられているという安心感が必要であると学んだ。
教育循環型社会へ
教育循環型社会では最終的に前述の出会うべき三人に自分がなっていくことを目標とするということを学んだ。自分が先輩教師から学んだことに、自分の経験や考えを加え、後輩に伝えていく。
教師として児童を中心とした教育循環型社会も考える。自分が教育者として関わってきた児童が、またさらに人を育てられるように育てるという循環型社会を目指す。
忍耐力や他人を思いやる豊かな心は、学校で育むと考える保護者が増えているとのお話もあった。教育循環型社会を考えるとそれらをまずは自分が身に付けなければならないと感じた。そして教育者としてその身に付けた力をどのように児童の力として育むかを考え実践していく。さらにその忍耐力や他人を思いやる豊かな心をもった児童がまた、人を育てられるようにしていくような循環型社会を目指す。