書き初めとは
一般的には、新年になって1月2日に、1年の抱負などを毛筆で書く昔からの行事であるが、現在では、書写の学習の中で、1月に学校で書くところが多い。
長い用紙を用いて、毛筆で、書き初めを書くのは、3年生が初めてなので「用具について」「姿勢」「場所の設定」「指導のポイント」などについてまとめた。
目次
用具について
筆
用紙の大きさにもよるが、ふつうは太い筆(6号くらい)が3年生にはよい。
穂先の2/3程度までを、先のほうから指先で丁寧にほぐす。のりがついているのでほぐしたところまでを軽く水洗いをしてから墨をつけるようにする。
元までおろしてしまうと、3年生には扱いにくいので、洗う時には十分気を付けさせる。
万一、元まで下りてしまった場合は、筆のためにはよくないが、元を太い木綿糸で縛って固める方法もある。
名前を書く筆は、できるだけ普通半紙で使用する筆の先を使うことが望ましい。
買ったときについている筆のキャップは捨てさせ、使わないほうが良い。使用後かぶせると穂先を痛めてしまう。
墨
硯ですった墨が一番良いが、使う量も多いので墨汁を使うこと勧める。
墨入れ
筆が太いので、硯は適さない。おわん、プラスチック容器、広口の安定したビンなどを使用する。また、市販されている使いやすい墨入れなどもあるので使用するとよい。
下敷き
用紙より、少し大きめのフェルト地のものが使いやすい。(古毛布を切っても代用できる。)
文鎮
用紙が長いので、あれば2本のほうが良いが、1本でも移動して使用すれば十分である。
新聞紙
朝刊1日分くらいを用意させる。床に敷いたり、名前を書くときに使ったり、後始末でも使用する。
雑巾
墨の入れ物や筆の下に敷く。
墨入れを包んで収納する。
このほか、こぼれた墨を拭くときにも使う。
洗濯ばさみ
2個用意させる。書いた作品を下げるのに使う。
ビニール袋
筆や墨入れを拭いた紙や、雑巾で包んだ墨入れを入れるのにあると便利。
姿勢
立って書く場合もあるが常に全体を見渡せるし、腕を動かしやすいので床で書くことを勧める。
上履きは脱ぎ、紙の真ん中あたりに膝を立てて、腰を上げて座って書く。
最初、筆にはたっぷり墨を付け、必要に応じて墨を絞る。
墨が垂れないように、筆は横にして、書く位置まで持っていき、書くときに立てる。
1字書いたら、少しずつ下がり、最後の文字を書くときには、下敷きから降りていることが全体を見通して書くために大切である。
場所の設定
机、いすを全部廊下に出し、床に各自持ってきた新聞紙を敷き詰め、その上に用意をする。
指導について
書き初めのように、長い用紙に書くときには、字配りが大切である。字配りには「行の中心」「字間」「余白の取り方」などがある。
行の中心
行の中心とは、一つ一つのの文字の中心線をつなぎ合わせたものである。すなわち、行の中心をそろえるとは、文字の中心を通して書くことである。
文字の中央に縦画があり、中心のはっきりしている文字はよいが、そうでない文字は、中心線を想定し、行の中心に文字の中心をそろえ、曲がらないように書くことが大切である。
字間
字間とは、文字と文字の間の開け方であるが、文字の大きさにたいして字間を考えることが重要である。
余白
余白とは、文字の大きさ、字間などを適切にとらえたうえで、紙面全体にどのくらいの白い部分をとるかということである。
書き初めのような長い用紙の場合は、上の余白はやや狭く、下の余白をやや広くとると、文字の中心が真ん中に見える。
3年生「大きな力」の指導ポイント
「大」
・2画目が中心にするようにする
・2画目の頭が短くならないようにする
・左払いの最後の力を抜かない
・右払いは左払いとほぼ下がそろうようにする
「き」
・平仮名なので、丸く柔らかく、点画部分が続くように書く
・三画目の始筆が、ほぼ中心にくるようにする
・傾きに中止する
「な」
・「き」と同様、平仮名の特色が出るように書く
・1画は中心に向け短く右上がりに書き、2画を中心の少し左から書く
・「むすび」の筆使いに気を付ける
「力」
・2画目を中心から書き始める
・1画目の「折れ」と「はね」の方向に気を付けて書く
後始末について
特に筆の後始末は、3年生できちんと指導しておくべきである。
ティッシュペーパーか、新聞紙を数枚重ねた上に、水入れの水を少し落として湿らせたものの上でそっと筆の墨を拭きとる。決してぐるぐるまわして穂先をねじらないようにする。
家に持ち帰り水道の水を細目に出し、下したところまでをていねいに洗うようにさせる。
書いた作品は、新聞紙に挟んで持ち帰る。
墨入れは、残った墨を捨て、(大きい空き缶を普段から用意しておく)よくふいて、雑巾で包み、持ち帰って洗う。残った墨汁をまた元の入れ物に戻すのは好ましくない。