衆議院と参議院について
日本国憲法は、憲法第42条
「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。」
により、衆議院と参議院からなる二院制を採用しており、両院ともに公選による議員で組織される民主的第二次院型である。
衆議院議員の定数は480人(小選挙区選出300人、比例選挙区選出180人)、参議院議員の定数は242人(比例代表選出96人、選挙区選 出146人)とされている。
衆議院議員の任期は4年である。しかし、解散した場合には任期満了前でも任期は終了する。
参議院議員の任期は6年で、3年ごと に議員の半数が改選される。参議院議員の任期については、衆議院議員より長い六年の任期を保障するとともに、三年ごとの議員半数改選を規定することで、議員の身分の安定を図ると共に、急激な議院構成の変化を和らげることで、衆議院とはことなり長期的かつ安定的な視点から参議院において審議が図られることを期待する趣旨である。
両議院の議員及び選挙人の資格
両議院の議員及び選挙人の資格、即ち被選挙権と選挙権については、選挙権は、日本国民で年齢満20年以上の者に付与され、被選 挙権は衆議院議員については満25年以上の者、参議院議員については満30年以上の者としている。また、日本国憲法第48条において、両議院議員兼職の禁止について規定している。
両院制の意義
両院制の意義は多角度的な民意の反映、慎重な審議を行うためというのが本来の趣旨であり、これは双方違った方法で選出されて構成される議院が存在することによって、様々な角度からの意見が反映されていくことでより深い議論が出来るというものである。
衆議院は、任期が短い議員で構成されるためそのとき最も近い民意を反映する、選挙でその都度総選挙するため、連続性に乏しい、一方参議院は任期が長い議員で構成される、選挙では半数ずつの改選のため連続性があるため国民の長期的な視点を反映するという多角的視点を採用するためである。
また、公職選挙法によって、衆議院は全国300小選挙区から選出された議員と、全国11ブロックによる比例代表によって選出された議員から構成されるようになっているため衆議院は、地域の代表としての色合いが強く、それに対して、参議院は都道府県を単位とした選挙区から選出された議員と、全国一ブロックによる比例代表によって選出された議員から構成されるようになっているため都道府県代表+全国代表の色合いが強い。
議会の多数派による専制の阻止・どちらかの議院が存在する安定した議会政治といった効果も生み出す。日本国憲法においては、衆議院の優越が認められる反面,参議院による多数派の横暴の抑制と審議の慎重性・合理性の確保が二院制の特徴となっている。
衆議院の優越
日本国憲法においては、多くの事項につき衆議院の優越を認められている。法律案は日本国憲法第59条において、衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした場合、衆議院の出席議員の3分の2以上で再び可決すれば法津となり、条約(日本国憲法第61条)・内閣総理大臣の指名(日本国憲法第67条第2項)について、両院協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が一定期間(条約については休会の期間除いて30日、内閣総理大臣の指名については、休会の期間を除いて10日)内に議決しないときは、衆議院の意思だけで国会の意見が成立する可能性が認められている。
また、予算については日本国憲法第60条第1項において、さきに衆議院に提出しなければならなく、第2項では参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、 両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、 国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決としている。
法律案の場合とは異なり、両院の議決が異なる場合に必ず両院協議会を開かなければならないとしたのは、 衆議院の議決に優越が認められているため、事前に両院の意見を調整する機会を作るためである。内閣に対する信任・不信任の決議権は、日本国憲法 第69条において「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」とあり、衆議院にのみ認められている。
衆議院の優越は上記のように任期が短く、解散制度のある衆議院のほうが民意を反映した議員であり、国政の円滑な運用を 図る必要があるからである。