家庭科教育では、地域や家族構成等によって違いがあるので、児童の実態を考慮した独自の題材や関連する内容をまとめた題材、複数の内容を組み合わせた題材を構成するようにし、地域や学校、児童の実態に応じて弾力的な指導が行えるようにする必要がある。
家庭科教育の留意点
まずは、児童の学習経験や発達の状況を的確につかむことである。家庭科が第5・6学年に置かれている理由は、児童の心身の発達の上から考えられたことであり、学習指導要領に示された家庭科の目標や指導内容も児重の発達の程度を勘案して作成されたものである。しかし児童の発達の特性についての理解をもち、さらに自分の指導する学級の児童の力が、どの程度に発達しているか、これまでどのような学習経験を積んできているかを具体的にとらえることが、計画を作成する上に必要なことである。
つまりは診断的評価を行い、児童の現状況の実態を把握する必要がある。
例えば、第5学年での家庭料理に関する単元では、担当児童がどの程度家庭での料理に関わっているのか(買い物・献立・調理・片付け等)を問答法、ペーパーテストなどにより技術的・意識的にどの程度行っているのかを把握し、弾力性をもたせ、学習が有効に進められるように考えておく必要がある。
近年の傾向
近年では生活習慣の変化により、共働きや、帰宅時間の遅延化に伴い、料理から疎遠になり、外食や弁当などで済ませる家庭が増加の傾向にある。そのため、料理はもとより、包丁などの調理器具の使い方さえおぼつかない児童が増えてきているはずである。そのような家庭が増えている中、児童の個人差によって,同時に異なる学習をするような場合に,安全に能率的に行えるように配慮する必要がある。
当然ながら実習の指導では服装を整え用具の手入れや保管を適切に行ったり、事故の防止に注意して、熱源や用具、機械などを取り扱わなければならない。食品についても安全・衛生に留意する。
行事との連携
次に季節や学校・地域社会の行事との関連を考慮することが挙げられる。季節によって家庭生活にはいろいろに変化があり、たとえば洗濯という児童の経験は、他の時期に比べると、梅雨期から夏にかけての生活に多い。
こうした時期にこの経験を有効に活かすことにより、学習が活発に展開されるはずである。生活科の授業を経て梅雨の時期に洗濯に関する単元を実戦的に扱う(実際の洗濯のしかた・必要性等)ことにより、家庭などの実生活でも大いに活かすことが可能である。また、逆に実際の自宅での経験により授業の充実化を図ることができるといった相互相乗的効果も生むことが可能である。
同様に学校行事との関連も考えられる。例えば芸術的学習発表会と関連させて、単元「生活に役立つ物の制作」を行い、自ら作成したもの発表する場を学校行事で与えることができる。ここではそれぞれの家庭に応じた必要な物や役立つ物が異なってくると考えられるため、多種多様な材料などを事前に収集しておき、学校の施設・設備を把握しておき、最大限に児童の作成意欲や作りたいものを実現させたい。
地域との連携
地域との関連については、物や金銭の使い方と買い物が挙げられる。それぞれの地域によって生活のスタイルが異なり、普段の買い物の場所や様式、地域の施設にも様々な形態があり、どこでどのような買物を行うかに合わせた指導が必要である。例えば、都心部などでは交通の便が発達していたり、近くにコンビニがあったりと児童自身が買い物と接する機会が日常生活でも頻繁に発生する可能性がある。そのため、金銭の使い方などはなるべく早期のうちに指導計画に組み込み、日常生活においてのトラブルを事前に防ぐといった対応が必要である。
このように家庭科では、それぞれの家庭生活を児童が自分自身で見つめ直し,各々の自分なりの課題を見付け,解決していこうとする活動を実戦的な行いを通して,家庭生活への関心を高めていくようにすることが大切である。
また、家庭科での授業を通して、家庭や普段の生活から、家族の一員としての自覚をもたせ,家族を大切に思う心情を育てることで,家庭生活をよりよくしようとする意欲や態度を育成することを念頭に置き、指導計画を立てなければならない。
さらに、上述のように弾力性を持たせることにより、学校・児童の個人差によっての対応を柔軟に行い、他の授業との兼ね合いを含め、時間的な融通や、児童の動きに対処させられるよう、余裕をもった計画作成を行うべきである。