目次
いじめについて
いじめは教育現場にとって依然深刻な問題です。とくに2次個人面接でも必ず聞かれる項目でもあります。基礎知識としてしっかり押さえておきましょう。
定義
これまでの定義
①自分より弱い者に対して一方的に
② 身体的・心理的な攻撃を継続的に加え
③ 相手が深刻な苦痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。
新基準
当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。
これに伴い、件数も発生件数から認知件数に変更された。
いじめの様態
・冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。
・仲間外れ、集団による無視をされる。
・金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。
・パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる。
認知件数や推移
学校別の認知件数
小学校から学年が進むにつれて多くなり、中学1年生が全認知件数の20%を占めて最も多く、以後は高校3年まで学年を追うごとに減少
いじめの発見のきっかけ
小学校では「アンケート調査など学校の取り組みにより発見」が最も多い。中・高・特別支援学校では「本人からの訴え」が最も多い
いじめ問題に対する基本的認識
いじめ対策緊急会議報告~いじめの問題への対応に当たっての基本的認識~
(一) 「弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識に立つこと
いじめについては、従来、一部にいじめられる側にもそれなりの理由や原因があるとの意見が見受けられることがあったが、いじめられる側の責に帰すことは断じてあってはならない。
いじめの問題については、まず誰よりもいじめる側が悪いのだという認識に立ち、毅然とした態度で臨むことが必要である。いじめは卑劣な行為であり、人間として絶対に許されないという自覚を促す指導を行い、その責任の所在を明確にすることが重要である。いじめをめぐっては、いじめる者といじめられる者の他に、それを傍観したり、はやしたてたりする者が存在するが、こういった行為も同様に許されないとの認識を持たせることが大切である。
(二) いじめられている子どもの立場に立った親身の指導を行うこと
いじめの問題の対応に当たっては、子どもの苦しみや辛さを親身になって受け止め、子どもが発する危険信号を、あらゆる機会を通じて鋭敏に捉えるよう努めることが大切である。その際、いじめであるか否かの判断は、あくまでもいじめられている子どもの認識の問題であるということを銘記し、表面的・形式的な判断で済ませることなく、子どもの立場に立って細心の注意を払い、親身の指導を行うことが不可欠である。
(三) いじめの問題は、教師の児童生徒観や指導の在り方が問われる問題であること
学校においては、あくまで児童生徒一人一人を多様な個性を持つ、かけがえのない存在として受け止め、教師の役割は児童生徒の人格のより良き発達を支援することにあるという児童生徒観に立つ必要がある。
(四) 関係者がそれぞれの役割を果たし、一体となって真剣に取り組むことが必要であること
いじめの原因等について検討することは必要なことではあるが、最も大切なことは、子ども一人一人の豊かな成長への願いを共有しながら、関係者全てがそれぞれの立場から、いじめの問題に一体となって取り組み、その早急な解決を図ることである。
(五) いじめは家庭教育の在り方に大きな関わりを有していること
家庭は、子どもの人格形成に第一義的な責任を有しており、いじめの問題の解決のために極めて重要な役割を担っている。いじめの問題を解決するためには、各家庭において、いじめの問題の持つ重さと家庭の教育的役割の重要性を再認識することが強く求められる。
いじめに対する主な対応
出席停止
悪質、かつ反復していじめを繰り返す児童・生徒に対しては、市町村教育委員会は学校教育法第35条を適用して、その保護者に児童・生徒の出席停止を命ずることができる。(暴力行為に対しても同様)
入学指定学校の変更・区域外就学
学校教育法施行令第8条は、市町村内に小学校や中学校2校以上ある場合には市町村教育委員会が入学すべき学校を指定するその学校指定の変更の、同第9条は区域外就学に関する規定であるが、これらは、深刻ないじめをその要件として適用することとなっている。区域外就学:児童生徒がその住所の存する市町村が設置する小・中学校以外の小・中学校・中等教育学校に就学すること
保健主事の配置
いじめの問題への対応に当たって養護教諭が果たす役割が大きいことから、養護教諭を保健主事に充当することができる。
不登校について
不登校生徒は、中学では1クラスにひとりいるという状況にあります。対策等基本的知識として覚えましょう。
不登校の定義
『何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、 あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの』
統計上不登校は年間30日以上の欠席のある児童となるが、あくまでも統計上の基準値であることに注意する。
学校不適応対策調査研究協力者会議
設置
文部省は等公共日の児童生徒の増加が教育問題になったことを受けて平成元年7月に設置
会議報告
不適応に陥った直接のきっかけの区分
①学校生活での影響
②家庭生活での影響
③本人の問題
態様の区分
①学校生活に起因する型
②遊び・非行型
③無気力型
④不安などの情緒的混乱の型
⑤意図的な登校拒否の型
⑥複合型
登校拒否問題に対する上での基本的な視点
(1)登校拒否はどの児童生徒にも起こりうるものであるという視点に立ってこの問題をとらえていく必要があること。
(2)いじめや学業の不振、教職員に対する不信感など学校生活上の問題が起因して登校拒否になってしまう場合がしばしばみられるので、学校や教職員一人一人の努力が極めて重要であること。
(3)学校、家庭、関係機関、本人の努力等によって、登校拒否の問題はかなりの部分を改善ないし解決することができること。
(4)児童生徒の自立を促し、学校生活への適応を図るために多様な方法を検討する必要があること。
(5)児童生徒の好ましい変化は、たとえ小さなことであってもこれを自立のプロセスとしてありのままに受け止め、積極的に評価すること。
不登校の現状
不登校を理由として30日以上欠席した不登校児童生徒
合計119891人
平成17年度まで4年連続で減少したものの、18・19年度は連続して増加し、20・21・22年度は連続して減少した。
不登校児童が在籍している学校
国公私立学校総数のうち57.3%
学年別男女別発生件数
学年が進むにつれて多くなり、中学3年生が最多
男女比はほぼ同数
不登校になった理由
小中とも情緒的混乱・無気力がおおい
問題行動に対する指導(通知)
従前の文部省の方針・見解とはかなり異なる内容をもっているので要注意。また懲戒と体罰の違いについてはしっかり押さえておくこと。
【問題行動を起こす児童生徒に対する指導について】
背景
「いじめ、校内暴力をはじめとした児童生徒の問題行動は、依然として極めて深刻な状況にあります。」
と書き起こしている。
文部科学省が学校教育委員会に通知したもので、懲戒と体罰の線引きについて具体例を挙げており、いじめや暴力行為などの問題行動に毅然とした指導を行うよう各教育委員会や都道府県知事などに求めている。
前文
問題行動への対応については、に未然防止と早期発見・早期対応の取組が重要。
学校は問題を隠すことなく、教職員一体となって対応し、教育委員会は学校が適切に対応できるようサポートする体制を整備することが重要。
教育委員会及び学校は、問題行動が実際に起こったときには、十分な教育的配慮のもと、出席停止や懲戒等の措置も含め、毅然とした対応をとり、教育現場を安心できるものとする。
本文
生徒指導の充実について
すべての教育活動を通じてきめ細かな指導を行う。
全教職員が一体となって、児童生徒の様々な悩みを受け止め、積極的に教育相談やカウンセリングを行う。
校内での傷害事件をはじめ、犯罪行為の可能性がある場合には、学校だけで抱え込むことなく、直ちに警察に通報し、その協力を得て対応する。
出席停止制度の活用について
いじめや暴力行為など問題行動を繰り返す児童生徒に対し、正常な教育環境を回復するため必要と認める場合には、市町村教育委員会は、出席停止制度の措置を採ることをためらわずに検討する。
懲戒・体罰について
校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、児童生徒に懲戒を加えることができる。
教員等は、児童生徒への指導に当たり、いかなる場合においても、体罰を行ってはならない。